683部分:第九十八話 出陣その二
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第九十八話 出陣その二
「我等だけで」
「わかっているのか」
「それもまた」
「はい」
二人に対しても答える彼だった。
「余地はしています」
「そうか。それならばだ」
「我等だけとは限らない」
「教皇もですね」
ムウもそのことは察したのだった。やはりその顔には微笑みがない。
「あの方もまた」
「そういうことだ。教皇御自身もだ」
「御出陣される」
まさにその通りだと。二人も答えた。
「今はそれだけの状況だということだ」
「教皇御自身もまた出られなくてはならない」
「では」
また言うシャカだった。
「参りましょう、その教皇の御前に」
「今からな」
「行くとしよう」
こうして十一人の黄金聖闘士が教皇シオンの前に勢揃いした。そのうえでサガとアイオロスを先頭にして片膝をついてだ。それぞれ述べるのであった。
「教皇、只今参上しました」
「御前に」
「よく来てくれた」
まずはこう応えるシオンであった。
「そしてだ」
「はい、それでは」
「今よりですね」
「トラキアに向かってもらう」
重厚な声で述べる。そうして次の言葉は。
「私と共にだ」
「教皇もまた」
「行かれるというのですね」
「そうだ」
まさにその通りだというのだ。
「私も行く。いいな」
「わかりました」
「それでは」
それにはもう驚かなかった。既にシャカの予見を聞いていただけではなかった。誰もが心の中である程度察してもいたのである。
そうしてだった。シオンはさらに言ってきた。
「まずは七十二柱の魔神達がいる」
「あの連中がまた」
「蘇ったのですね」
「そうだ。そしてインプ達もいる」
所謂アーレスの兵士達である。
「それもかなりの数がだ」
「どれだけの数でしょうか」
サガがその実数を問うた。
「一体」
「少なくともこの聖域にいる兵士達の二倍だ」
それだけの数がいるというのだ。
「御前達が倒してきたあの者達も蘇ってきている」
「しかし雑兵達は」
「数では」
「侮ってはならない」
だがシオンの言葉は厳しかった。
「敵は敵だ」
「だからこそですか」
「それは」
「そうだ。この戦いはどちらが滅びるかだ」
まさにそうした戦いだというのである。
「だからこそだ。いいな」
「例え何者であろうとも」
「一人残らず倒す、ですか」
「アーレスの軍勢に降伏という言葉はない」
シオンはまた言った。
「そして退却もだ。わかっている筈だ」
「はい、それは確かに」
「嫌になる程」
わかっていることであった。これまでの戦いにおいてだ。
「だからこそですね」
「我々も降伏や退却を知らないからこそ」
「その為もあり」
「そうだ。どちらが滅びるかだ」
まさにそう
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