暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第11話 桜田舞帆との出会い
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ても、どうにもならないだろうが。

 自分自身の言い分に耐え難い理不尽を覚え、俺は正義を信じて疑わない、純真な彼女の瞳に目を向けた。

 その澄んだ光は、俺には余りにも眩し過ぎた。汚され、砕かれ、朽ち果てた俺には。

 俺がどうしようもなく、あの残飯に匹敵するほどに薄汚れた存在とも知らず、哀れな慈愛の天使は(無意味な)救いの手を探す。

「うーん、やっぱり……うん、よし! 私の家に行きましょう! 助けてくれたお礼もあるし、お昼くらいご馳走できるわ」

「どういう思考回路でそんな結論が出てくんだよ」

 呆れるようにこれみよがしにため息をつくが、当の女は気にしていない様子だった。

 俺の話を全く聞こうともせず、「ちょっと連絡してくるから待ってて!」と一人でどこかへ走っていってしまった。

「なんだっつーんだよ……」

 うっとうしいような、嬉しいような、厚かましいような、ありがたいような……微妙な心境に、俺の心は揺さぶりを掛けられていた。

「いいことしたからお礼が貰えるって、いい気にでもなってんのかよ、俺は……」

 それからしばらく待っていたが、彼女はなかなか帰ってこない。

 電話くらいで三十分も掛かるわけはないし、途中で自分の過ちに気付いてさっさと帰っちまったんだろうか。

 納得したようながっかりしたような……またしてもそうした、まとまりのない気持ちになっていると、女とは違う足音が近付いてきた。

 彼女のそれよりも重く、力強い。その音の主には、見覚えがあった。

「よお、さっきはやってくれ――」

 言うより早く、俺はノコノコと顔を出してきたさっきのヤンキーの髪を掴み、顔面に膝蹴りを叩き込んだ。

 挑発的な目付きとあの時のやり取りからして、俺の得になるような話じゃないのは明白だからだ。

「ひぎぁッ! て、てめ……!」

「んで? 俺に何か用かよ。女に絡んだ時みてぇの仲間はどうした」

 整理のつかない自分の気持ちに苛立ってる中での、ヤンキーの再来は俺に八つ当たりの機会を与えたようだ。

 しかし、こいつはレベルの違いを見せ付けられてなお、ニタリと薄気味悪く笑っている。

「へへへ、どうしたも何も、いつも通りさ!」

「いつも通り? ――クソッタレが!」

 俺は鼻血を垂れ流しているそいつを投げ捨てて、女の向かった先へ走った。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ