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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第11話 桜田舞帆との出会い
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ことよ、それは!」
周りの通行人は俺達のやり取りを奇異なものを見る目で見ている。
彼女も視線に感づいたのか、頬を赤らめながら俺の手を引っ張り、その場を後にした。
「――で、どうしてあんなことしたの」
生徒のいたずらを見つけた先生のような物腰で、女は俺に詰問する。
俺が「いつものことだ」と目を逸らすと、彼女はますます声を荒げた。
「いつも……!? いつもあんなところで、残飯漁ってるの!?」
「お前からすりゃあ異常だろうが、俺の胃袋にはあれくらいが丁度いいんだよ。お前が気にかけるようなことじゃ――」
すると、女は何かに気付いたように目を大きく開き、さらにズイッと顔を近付ける。
「あなた、もしかしてお金がなかったの?」
「あぁ?」
「二人分買うお金がなかったから、私に気を遣って……でも、どうしてそこまで? それに、家に帰ればご飯だって……」
――この女のお節介にはヘドが出るし頭が下がる。
俺は軽く舌打ちすると、目を合わせないように首を後ろに向けて口を開いた。
「たかがメシ食うためだけに、俺のことでハラハラしてるお袋に会えってのか」
そんな物言いに、彼女はムッとした表情になる。
なんたる親不孝な、と言わんばかりなツラだ。
髪を染めてから、俺はなるべく母さんとは顔を合わせないようにしてきた。
朝は母さんより早く起きて、自分で朝メシを済ませて、さっさと学校に行く。
仕事でいないタイミングを見計らって学校から帰った後、帰ってくる前に出掛けて、すっかり寝静まったころに帰る。
休日は一日中外で過ごし、帰りは朝方。そんな生活だった。
きっと心配するだろう、とは思っていた。
だけど、俺はもう引き返せる気はしていなかった。だから、なるべく顔を合わせないように、言葉を交わさないようにしてきた。
こうしていれば、きっと母さんは匙を投げる。俺を忘れてくれる。そう願っていたから。
「ダメよ、そんなの!」
俺のそうした苦肉の策は、女の清々しい正論に一蹴されようとしていた。
「お母さんを心配させるようなことしちゃ、ダメでしょ! あんな悪いこと続けてて、申し訳ないとは思わないの!?」
何も知らないから言える、綺麗ごと。
俺はこうした彼女の訴えを、そう取らざるをえなかった。
それでも、間違いだとは思わなかった。
それが最もだと、俺も感じていたから。
だが、脳裏に過ぎった一人の男の姿が、俺に現実に戻ることを拒ませる。
「……そんなの、弌郎に言ってくれよ」
「え?」
不思議そうに首を傾げる彼女の姿に、俺は頭を抱えた。
そして、後悔の念を抱える。
――こいつにそんなこと言っ
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