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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第10話 初恋の思い出
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性にとっては殺されるに等しい屈辱だと聞かされたことがある。
そんな他人事としか思えないような非日常な事態に、初恋の人が――ひかりが巻き込まれて……まして、その原因の一端が自分にあると知ってしまったら、俺はもう、何も言えなかった。
何を言うべきか、誰を恨むべきか、それすら見失うほどに錯乱していた。
『まぁ、そーゆーわけだから、ひかりちゃんのことは俺に任して、お前は宋響で新しい女でも引っ掛けとけや。女子高生の方がほどよく熟れてて美味いんだぜ? じゃーな』
プツン、と携帯が切られた。
それに比例するように、俺の心も、原形を留めないほどに崩れ落ちた。
後になって、ひかりと同じクラスだった同級生から、彼女が俺を好いている友人のためにその人の背中を押していたという話も聞かされたが、そんなことはどうだってよかった。
確かなのは弌郎が、俺が、彼女を苦しめたということ。
泣かせた、傷付けた。それも、殺人に等しい重さで。
――なら、どうする?
答えは簡単だ。もう、誰も好きにならなければいい。
誰とも、仲良しにならなければいい。
卒業式の後、俺は真っすぐ宋響学園に向かった。
ひかりの入学取り消しを撤回して欲しい。責任は俺にあるんだからと。
しかし、話を受け入れてくれる人間は、誰ひとりとして存在しなかった。
問題を起こしたのは、ひかりと弌郎であり、俺は関連性がない、というのが彼らの言い分だった。
食い下がる俺を生活指導の教員がつまみ出すまで、彼らは俺の話に関心を向けることはなかった。
俺には、彼女を救える力なんてなかった。
誰も救えない。誰も救えないなら、誰かを守れるような人間でいる必要はない。
そして、それまで積み重ねたものに自ら泥を塗るように、俺は髪を真っ赤に染めた。
俺はアイツと……弌郎と同じような、人を傷付けることしかできない。
そういう風にしか生きられない、そういう星の下に生まれてきた愚者なんだと、自分自身にそう証明するように。
それを裏付けるかのように、宋響学園に入ってから、俺は毎日喧嘩に明け暮れていた。
殴られて、蹴られて、刺されて、血を流して。
終わることのない贖罪に身を投じ続けて、俺は自身の心身を破壊しようと躍起になっていた。
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