暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第10話 初恋の思い出
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彼女の方はどうかはわからない。
 そもそも、異性としては見られていないかもしれない。だが、俺はそれでも構わなかった。

 一緒にいられて、おしゃべりできればそれで良かったんだ。

「や、約束だぞ! 約束だからな!?」

「うん、うん! ……約束……」

 △

 その日の晩、合格すれば文倉をひかりと呼べるんだと、ウキウキした感情に身を任せて帰宅した俺を、アイツが出迎えた。

「よぉ、大路郎ォ! 見たぜ見たぜ、いい女連れて色ボケてんじゃん! そんなんで宋響に受かんのォ?」

「弌郎――帰ってたのかよ」

 ……年の離れた実兄、弌郎(いちろう)だ。

 血の繋がった実の兄弟ではあるが、正直言って、関係は最悪だ。

 というのも、こいつは女遊びにしか興味を示さず、ろくに働きもせず、引っ掛けた女に貢がせて生計を立てているような輩で、母さんにもほったらかしにされている始末だ。

 最近はスーパーヒーロー評議会で働く女性職員にまでちょっかいを賭けているらしい。ますます嫌になる。

「で? で? 胸はどれくらいあんのよ? 締まりはいいか? 感度良好?」

 染め上げられた金髪をなびかせ、もたれるように俺の肩に腕を絡ませてくる。

 どうやら、俺と文倉が一緒にいることもご存知らしい。苛立ちに拍車が猛烈に掛かっていく。

「うるさい! 弌郎には、関係ないだろ! 俺に関わんな!」

 家全体に響き渡るように怒鳴り散らし、俺は自室に駆け込んだ。

「はぁ……」

 ベッドに体を投げ出して天井を見上げると、自然とため息が漏れてくる。

 弌郎の起こす女絡みのトラブルのせいで恥をかかされるのは、もうたくさんだ。

 小学生の時は、当時風邪を引いていた母さんに代わって授業参観に来たと思えば、担任の先生の胸を揉んで体育教師につまみ出されていた。

 中学に入ったころには、教師のみならず生徒にまで手を出すようになり、警察沙汰寸前までいってしまったケースもある。

 死んだ親父も生前はかなりのドスケベだったのだそうだ。もしかしたら血なのかも知れない。

 そう思うと結果として自己嫌悪に帰結してしまうのだが、それでもくじけている暇はない。

「文倉……そう、文倉なら、きっと仲良くやっていけるはずだ!」

 頭を切り替え、勉強机に向かう。

 いい家族なら見習えばいい。悪い家族なら反面教師にすればいいんだ。

 要は、俺が俺の嫌うような奴にならなければいいんだから、女の子を泣かせるような奴にならなければいい!

 その一心で、俺は宋響学園を目指した。

 △

 やがて迎えた卒業式。

 俺も文倉も無事に合格を果たし、互いに名前で呼び合う、という感無量な報酬も手に入れ、
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