暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第2話 船越大路郎と桜田舞帆
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悪い奴らをぶちのめしてるけどさ、正直言って他のヒーローに比べたら活躍が地味じゃね?」
「でも、他のヒーローが捕まえられなかった凶悪犯をやっつけたこともあったよな」
「アレはヒーロー達の時間稼ぎに便乗した漁夫の利、って形で決着ついてただろうが」

 ……そう、この学園の平和を守る、正体不明のスーパーヒーロー。
 それが「セイントカイダー」。

 純白と薄い黄色を基調にした、無骨な装甲服とマスク。そして、「生徒会」を思わせるネーミングから、生徒会に身を置く超エリート様の舞帆が変身しているのでは……と、学内ではもっぱらの噂だ。

 ――が。目撃者の証言によると、セイントカイダーは体格からして男性の可能性が高いらしく、生徒会役員に体格が一致する人間もいないため、「セイントカイダーは何者なのか」という件は、実質迷宮入り状態らしい。

「なぁ船越、お前はどう思うよ? セイントカイダーのこと」
「知らねぇよ……んな事より、俺はテストの方が心配だよ、横山」
「そうだ! 今日って数学の……」

「答案の三割埋めれば奇跡だよな」

 ちなみに、この学校は成績ごとにクラスが分けられている。
 舞帆がいる最高峰のAクラスから、俺や横山がいるような最低辺のJクラスまで、さもヒーローランクのように階級を分けられている。

「格差社会はいつになっても変わらんもんだよな」
「だな……んなことより、お前! 学園祭の準備、大丈夫だろうな!? 本番は十月なんだぞ!」
「わぁかってるよ、心配すんなって」

 そんな時、校内アナウンスが俺の名を呼ぶ。

『三年Jクラス、船越大路郎君。生徒会執行部までお越しください』
「だぁ、また俺かいッ!」
「お前もつくづく大変だよな船越。まぁ、頑張りな」

 生徒会の誰が俺をどういう用事で呼び出すのかは既に見当がついている。
 こんなことはもはや日常茶飯事なんだから。

 おかげで、生徒会のファンからはすっかり目を付けられてしまう始末。踏んだり蹴ったりだ、全く。

 俺は階段をダッシュで駆け上がり、「生徒会執行部」とプレートで表示されている一室の扉を開く。

「……んで、今度は何だよ」
「違うでしょ! 入ってきたら『失礼します、三年Jクラスの船越です』でしょ!」

 書類やらファイルやらでグチャグチャに散らかっている生徒会の部屋。
 その最奥に、頬を膨らませる舞帆の姿が見えた。

 生れついての茶髪を一束に纏めたポニーテールが、彼女が怒りを表現しようとする都度に可愛く揺れ動く。

 芸術作品の壁画から飛び出してきたかのような、絶妙なプロポーションに、端麗な目鼻立ち。

 生徒会執行部などというお堅い身分でなければ、今頃は学校中の男子生徒から熱烈なアプローチを受けているだろ
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