第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#39
星魔の絶戦 千変VS星の白金Z〜Desolation Crisis “Mammon” “Leviathan”〜
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【1】
「立てよ……」
斬創、刺創、裂創、マキシコートのような学生服に数え切れないほど刻まれた
無頼の貴公子は、根本まで灰になったフィルターを吹きながら言った。
スタンドの星拳を喰らい抉れた路上に膝をついた雷獣、
ルール無き闘争なれば追い打ちを掛けるに是非なき状況。
近距離にて組み伏せれば、 『神鉄如意』 に大獄変貌する時間はない。
大き過ぎる “力” は、それ故に大きな制約が絡む。
そこまで理解っていながら、承太郎は両手をズボンに突っ込んだまま
シュドナイを待った。
優位に立つ者の増長ではない、異種に対する蔑視でもない、
あくまで “対等以上” と認めているからこその……
「来いよ、 “千変” シュドナイ」
そのライトグリーンの瞳に宿る黄金の光、
自身をここまで 「成長」 させてくれた
男に対する純粋な深謝がそこに在った。
空条 承太郎が、明確な認識のもと紅世の徒の真名を呼んだのは
これが初めてではないだろうか?
アラストールやラミーという例外はあるが、
基本人を 「物」 とも想わぬクサレタ化け物、
頼みもしないのに勝手に現世へやってきて、
好き放題に残虐の限りを尽くす神サマ気取りの侵略者、
それが紅世の徒に対する彼の認識であり裡に宿る 『正義』 の元
敬意も畏怖も抱きようがなかった。
その事は承太郎自身が充分に理解しており、
眼前で身を起こすシュドナイも同じコト、
罪もない人間を数えきれず、女も子供も赤子すら無慈悲に掻き喰らった
鬼畜以下の存在に他ならない。
だから表情に現れずとも彼は自分の心の流れに困惑していた。
その形容、正に人喰いの化け物としか言い様がない雷獣に、
微塵の憎悪も嫌悪も沸かない事を。
“オレが紅世の徒だったら、どうなっていた?”
答え無き、空虚な問い。
“何で戦ってんだ? オレ達?”
憐憫にも似た寂寥が胸の中を吹き抜けた。
「……」
手にした剛槍を、岩が粉と砕ける力で握り締める雷獣。
「オオオオォォォッッ!!」
猛虎の咆哮と同時に大気を拉ぐ剛閃が空間を薙ぐ。
本刃、副刃の伸長を計算に入れながら、
視るだけで暴圧に眼が潰されるような渾身の一撃を
承太郎は充分に引き付けて躱す。
一拍遅れて巻き起こった空圧に学生服のボタンが解れて弾け飛ぶ。
「ウオオォッッ!! オオッッ!! オオオオオオオォォォォォッッ!!」
異形の体躯に見合わぬ技のキレ、シャナやポルナレフと比べてもまるで見劣りしない
練達に無尽蔵のパワーを上乗せして雷獣は剛閃を繰り出し続ける。
本刃は、副刃はピクリともしな
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