暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Eipic20-B幕間〜Great Healer〜
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傷者だったアリサとザフィーラとヴァイスを、上級術式のエイルで完治させた後、俺は急激な眠気に襲われて一瞬にして眠りに付いてしまった。記憶消失に陥らずに済んだのは幸いした。
「アンタ、本当に大丈夫なわけ?」
「結構眠ったね、ルシル。もう夜だよ」
「はやて達にはもう連絡を入れておいたから、準備が整ったら寮に帰って来てって」
寝起き直後に、ベッドの上で横座りするアリサと、女の子座りするアリシアからは気遣いを、側の椅子に座っているフェイトからは報告を貰った。アリサとアリシアには「ありがどう、もう大丈夫だ」礼を、フェイトには「身長の事は?」と訊ねる。
「話してないよ。私から話すような話題じゃないし」
「そうか。ありがとう」
俺の成長が止まった原因は、おそらくこの体が魔力で構築されているからだろう。成長期に、シュヴァリエルとの戦いで過度の魔力消費、複製物――記憶消失が続いたからな。今に思えば当然な結果だ。もう人間の体としての成長は望めないから、ずっとこの低身長のままだろう。泣きそう・・・。
「おーい、ルシル。トリシュが来てくれたよ!」
アイリが病室に入って来た。遅れて「ルシル様!」トリシュ――トリシュタン・フォン・シュテルンベルクが駆けこんで来た。服装はカリムやシャルと同じ女性騎士団服。髪型は俺とそっくりのインテークで、髪色は茶、瞳の色は青。
彼女も20歳となり美人になったが、エリーゼの色素と同様に体の起伏の乏しさも受け継いでいるようだ。身長はなのはくらいあるが、胸のサイズはアイリ並(中学生ほど)だ。なんて口にしたら、大顰蹙を買うだろうから口が裂けても言わない。
「アイリからの連絡で、ルシル様が私を御指名とのことでしたから、急いで参上しました!」
「わ、わざわざすまない、トリシュ。まずは、息を整えようか・・・」
本当に急いで駆け付けてくれたようで、トリシュは大きく肩で息をしていた。アリシアが「水、水っと」病室隅の脚長テーブルに置かれたポットの水をコップに注いで、「はい」トリシュに手渡した。
「ありがとうございます、アリシア。・・・ぷはぁ、ごちそうさまでした。では早速、私は何をすればよろしいでしょう?」
コップをアリシアに返したトリシュに俺は、「クス・デア・ヒルフェを、俺に使って欲しい」単刀直入に願い、頭を下げた。クス・デア・ヒルフェは、シュテルンベルク家直系の女子、しかも長女にしか受け継がれない固有スキルだ。
受け継いだ長女は生まれながらにリンカーコアを2つ有している。1つは自分用、もう1つがスキル用だ。その効果は、対象に唇で触れると、スキル用のリンカーコアの魔力を、対象へと流し込む事が出来るというもの。オーディンと名乗っていた頃、エリーゼのこのスキルに何度も助けられた。
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