逆
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シリルside
「クソッ!!」
最大の好機を逃したことに思わず地面を叩く。相手の攻撃を防いだところだったから、今のを生かせれば完全に流れはこっちに来ていたのに・・・
「チッ。クソガキが」
だが、それは向こうも同じ。カラスもチャンスを得ていながら物にすることができなかった。それにより、かなり苛立っていることが誰の目からも明らかだ。周りに誰もいないけど。
「しょうがねぇ。幼女相手に使いたくなかったけど・・・」
「そこまで小さくない!!」
突っ込むべきはそこだけじゃないけど、全部に突っ込んでいたらいい加減俺の体力が持たない。だって俺の周りって変な奴が多すぎるんだもん。
「本気を出していくしかないか」
俺の突っ込みなど聞いていなかったようにしか見えない男は、武器を地面に突き立てると両手を握り合わせ目をと閉じる。
「?なんだ?」
戦いの最中とは思えない無防備な姿。いかにも攻めてくださいと言わんばかりの彼の姿に、不信感を持たずにはいられない。
(攻撃に出るとやり返してくるカウンター?いや、でもあんなに隙だらけだと・・・)
違和感が拭えないが気にしすぎても話にならない。もしかしたらこうやって魔力を高めている段階なのかもしれないし、攻められるならせめるべきか。
「よし!!」
こちらが動くことが向こうの狙いだったならば仕方ない。そう腹を決めて突撃する。
「・・・」ブツブツ
小声で祈りを捧げるかのように何かを呟いている敵目掛けて全速力で突き進む。もしかしてこの人・・・気付いてないのか?
「ナメるなよ!!」
閉じられている目に力が入っている。それを見て確信を持った。この人は俺のことなど一切警戒していない。ただ、自分がやりたい何かのための準備をしているだけ。
「水竜の・・・」
それならば今は何をしてもいいはず。大きな力を発揮するためには大きなリスクも生じる。その代償が隙を見せることならば、容赦なくそれを突かせてもらう!!
「鉤爪!!」
足に水を集めていまだに目を閉じたまま微動だにしない相手の顔面目掛けてそれを振る。そして、それがカラスの顎を捉える瞬間・・・
カッ
彼の目が大きく開かれた。
ブワッ
「うわっ!!」
その瞬間彼を中心に突風が吹き、攻撃に出ていたはずだったのに大きく飛ばされてしまう。幸い空中で一回転することで着地は問題なくできたが、詰めたはずの距離が大きく開いてしまったことに気が付く。
「今の風・・・どこから?」
彼を運が味方したようには思えない。そもそも、あれだけの強風が吹いたならばカラスだって飛ばされないにしても少しはぐらつくはず。それがなかったってことは・・・
「あいつの魔法か?」
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