第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
六十三話 百鬼夜荒 陸
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うな爆煙を立ち上げ地上を激しく震撼させた。
「さっき万死って言ったけど………八つ裂きで許してあげるわ♪」
ナハトの腹に極彩色に輝く手刀を突き立てている幽香は、万物を虜にする様な妖艶な笑みを浮かべ死の宣告を口にする。
「きッ貴様ァァァァァァァァァッ!!」
大地に仰向けで叩き付けられていたナハトは、直ぐさま砂鉄の防御で幽香を吹き飛ばそうとするが――――
時既に遅く――――
突き立てられている幽香の手刀から更に眩い輝きが迸り、ナハトの巨体を極彩色の煌めきが縦横無尽に駈け巡りナハトの断末魔ごと木っ端微塵に斬り裂いた。
「あら?ごめんなさい………八つ裂きにしては細かくし過ぎたわね♪」
飛び散ったナハトの鮮血が大地を染める中、幽香の全く悪気を感じさせない言葉が静かに木霊し、大地を赤く染めていたナハトの名残がゆっくりと灰となって散ってゆく。
そんな余韻の中、彼方より衝撃が風の様に駆け抜け幽香の髪を乱す。
遅れて響きく爆音が遠雷の様に轟き、幽香は音の発生源であろう方向へと視線向ける。
彼女の視線の先に広がる暗闇の遥か向こうから、立て続けに流れる衝撃と轟音。
「あの方向には……虚空さんやルーミアさんがいらっしゃるはず………先程から感じる力とこの衝撃、お二人はご無事でしょうか?」
何時の間にか傍に来ていた綺羅が独り言の様に呟き、それが聞こえた幽香は呆れと可笑しさが同時に込み上げてきた。
「ルーミアは未だしも…彼奴の心配するとかアンタ…お人好しにも程があるわよ?」
「幽香さんは心配ではないのですか?」
幽香の発言に本気で疑問を呈する綺羅に、
「正直に言えば彼奴等が死のうがどうしようが知ったことじゃないわ…特にあの阿呆の方はね。
それより―――」
幽香は言葉を止め綺羅に促す様に視線を動かした。
綺羅はそれに追随する様に視線を向け、先には先程よりも多くの妖怪達が自分達を取り囲み、機を覗っているのか鋭い視線を向けていた。
難敵を排除しただけであり戦闘は未だ継続中なのだ。
「他人の心配より自分の心配をしなさい…
……じゃなきゃ死ぬわよ?」
幽香の言葉は実に正しく、綺羅はその言葉の意図を汲み上げる様に気を引き締めた。
その素直さ、生真面目さに幽香は笑みを浮かべると、
「彼奴の思惑通りに動くのは本当に癪に障るけど……今回は…まぁ…仕方ないわよね。
綺羅、援護は任せるわ――大丈夫かしら?」
背中越しの幽香の問いに、
「お任せください!」
力強い彼の返答が周囲へと木霊した。
その返答代わりに幽香の右手から
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