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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十八話 光明
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て自治領主府に伝えます。自治領主府はそれを検討し認めるか、或いは代替地を用意するのです。そして同盟軍に伝える。同時にフェザーン商人にそれを伝え、その宙域に近付かないように警告します」

民間船の通航を優先するのだろう。おかしな話じゃない。フェザーン回廊は民間船の通航が多いし、フェザーンは交易で成り立っているのだ。軍の訓練など邪魔なだけだろう。
「それで?」

「今回同盟が希望した訓練予定地はフェザーン回廊の同盟側でした」
フェザーン回廊の同盟側……、しかし訓練は帝国側で行なわれた。
「フェザーンが帝国側で行なうように仕向けた、そういうことですか……」
だとするとフェザーンと同盟の関係は悪化しているという事か……。

「それが違うのですよ」
「違う?」
俺は間の抜けた声を出したのだろう、ボルテックは可笑しそうな顔をしている。

「妙なことなのですが同盟からフェザーンに提示された訓練地は帝国よりの宙域だったそうです」
「……」
どういうことだ? フェザーンじゃない? 同盟軍の中ですり替えが起きた? 俺が混乱していると思ったのだろう。ボルテックの表情は可笑しそうなままだ。

「帝国よりの宙域で訓練が行われる事にフェザーンはおかしいとは思わなかったのでしょうか?」
「それは思ったでしょう。しかしフェザーンは訓練地の検討を行ないますが形だけのものです。訓練地に変更が入る事などありません。そんな事をすれば軍はオリベイラ弁務官を通して同盟の力で領主になれたのを忘れたのかとペイワードに言うでしょうな」

フェザーンが訓練地を変更する事は無い、それを利用した人間が居る、そういう事か……。
「それで、誰が訓練地をすり替えたのです?」
「それが分からないそうです。同盟はフェザーンがすり替えたと言い、フェザーンは同盟軍の内部ですり替えが起きたと言っています」

分からない? それも妙な話だ、単純に責任を擦り付け合っているなら良い。だがそうじゃないとすると少々厄介な事になる。ボルテックももう笑っていない。彼も不可思議な話だと思っているのだろう。

「すり替えは本当に同盟軍の内部で行なわれたのでしょうか?」
「……私に伝えた人間はそう言っていました。しかし本当のところはどうなのか、疑問はあります」

ボルテックも疑問を持っている。巧妙だな、フェザーンと同盟の間で不信感を煽るか……。フェザーンを信用できないとなれば直接支配という考えが出てくるだろうな。特に帝国との関係が悪化すればするほどその考えは勢いを持つ。

フェザーンの直接支配という観点から見れば同盟軍主戦派の犯行という可能性が高そうだが、帝国と同盟を争わせると言う観点から見れば他にもやりそうな連中は居る。分かっているのはアラルコン少将が嵌められたという事だけだ。本人は
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