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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三四幕 「バッド・ラック・ビート」
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丈夫な所なの、ここ?」
「ホントは駄目だけど地元の人は気にしない感じかな?ま、大丈夫だと思うよ」
「そんじゃ失礼して」
鎖をまたぐと足の長さが足りずに微妙にお股を擦りそうになる。ルマリーさんの脚どんだけ長いんだろう。私だってクラスの皆と大差ない程度の長さはある筈なんだけど。外見偏差値高すぎるよこの世界……。
などとどうでもいい事を考えつつ、少し埃で汚れた工場内に足を踏み入れる。
中には用途の分かるガラクタもあれば分からないガラクタもある。ありていに言うと半端に散らかっていた。スペース的にはバスケくらいは出来そうであり、実際誰が設置したのかバスケのゴールが針金で無理やり括り付けられている。
「ほら、ここ。廃工場だったんだけど、扉に鍵がかかってなかったから地元のヤンキーの遊び場だったんだよね。流石に事件の痕跡は残っちゃいないけどね。事件の後にお巡りさんたちが調べて、調べ終わった後は業者さんに事件の痕跡は洗われた。今ここにあるガラクタは、事件の事を知らないヤンキーが持ち込んだんじゃないかな?」
「事件の、痕跡……そんなに派手に残るような事件だったんだ。ベルくん怪我とかしてないかなぁ……」
昔は元気だったらしいベルくんがあんなに弱り切った体になるくらいだから、もしかしたら人死にくらい行ってるかもしれない――という予測くらいはノンキな私にもあった。政府役人が口を濁していたのもそういう訳かもしれない、と。
だから次の言葉に私は驚きこそすれ、本気でショックを受けることはないだろうと思っていた。
――後になって思うのだが、こういうときの私の見積もりというのは意外と当てにならない。
――可能性を知っていることと事実を受け止める事には、まったく違う覚悟が必要なのだ。
――精神年齢が40を越えてこの世界に慣れ始めていたつもりの私は、その事実に無頓着で。
「たいした事件じゃないよ……これから起きるIS学園の有名生徒惨殺事件と比べれば、田舎者10人が殺された殺人事件なんて小さな話だもの」
呼吸が、止まった。
「ぇ……………」
言っている言葉の意味が、暫く判然としなかった。
「あは、面白いカオになってるよ?――IS学園1年A組出席番号10番で、今はベルくんの隣にちゃっかり収まってるズルーいズルーい……ミノリちゃん?」
振り返ったルマリーさんの顔は、逆光で見えない。
だけれどもその声はきっと……いや確実に、『楽しそう』だった。
ただ、頭のどこかで打算や記憶の整理をしている勤勉な私は、この頭がフリーズしそうな状況下で一つの違和感を紐解き、その原因に突き当たった。
(私――名乗ってない。なのにルマリーさんは私の事を知ってる。ううん、私もベルくんも
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