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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三四幕 「バッド・ラック・ビート」
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ーの、と鈴は内心で悪態をつく。大分荒んでいるようだ。

「はぁ……あの『水津花』とかいうヤツは何かしら知ってそうだし、是非とも問い詰めたい所なんだけどね〜……」

 鈴が言う『水津花』という謎の男は、凰夫婦の前に風のように現れ、ささっと心臓近辺の事情説明だけして颯爽と去っていったらしい。あのタイミングで現れた以上、確実に訳アリだ。絶対に何か知っている。

「あ、実はアタシの知ってる人だったりして。世間は狭いっていうからねー」

 思い立ったが吉日とばかりに携帯を取り出した鈴は、『水津花って誰か知ってる?』というざっくり過ぎる内容のメールを作成し、級友たちに一斉送信し、考えるのが面倒とばかりに昼寝を開始した。

「明日には日本に戻るのかぁ………」

 ふと、夏休み前の箒の様子がおかしかったことを思い出す。
 妙に勘の鋭い箒のことだ、きっと再会したらこっちの様子がおかしい事にも気づいてしまうのだろう。その時にどう説明するかな――という悩みは、やがて睡魔に負けて意識の底に沈んでいった。

 故に――。

 鈴は、自分の送ったメールに対して返ってきた無数の返信メールの幾つかに、本当に『世間は狭い』ことを証明するものが混ざっていたことに暫く気付けなかった。



 = =



 佐藤稔(さとうみのり)って女の子がツイてる人間かそうでない人間かと問われれば、多分ツイてる。

 いやね、確かに平凡で安全な日常を望んではいたけどさぁ。冷静に考えたら私って超エリートコースを歩んでいる訳よ。世界でも難関なスーパー学校に入学して、先生からも一目置かれ、不本意ながら凄い技術を注ぎ込んだ専用ISまで持ってるんだよ?

 これでツイてないとか言おうものなら世界中のIS操縦者志願の女性たちに対して逆に失礼千万なわけだから、いっそツイてる。そう、私は世界一ツキのある女なのだ。そうに違いない。でなければ、イタリア初の聞き込み活動でしょっぱなからベル君の昔の友達なんてジャスト過ぎる人を見つけられる訳がない!

「………それでね、ベルーナくんがいないー!って皆で騒いで散々探したんだけど全然見つからなくて、いよいよ警察沙汰か!?ってなったのよ!そしたらベルーナくんったらもうペンションのなかでお菓子食べてんの!!もぉー、ホンット信じられない!!あたし達が探してる事知ってたのに面白いから黙ってたって言うんだよ!!」
「いやぁ、イタズラ小僧だね〜……あの病弱で貧弱なベルくんにそんな過去があったなんてぜんっぜん知らなかったよ」
「あたしからしたらあのベルーナが大人しく家でジッとしてるっていうのが信じらんない!同じ場所に2秒と留まっていられないほど多動な子だったのよ?」

 まるで近所のおばちゃんが子供の思い出話を語るように楽しそうにベ
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