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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三四幕 「バッド・ラック・ビート」
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凰鈴音という少女は人物としては大物だ。
だが、それでも年頃の少女であるという事実は変わらない。
少女とはつまり乙女であり、広義での子供でもある。しかも彼女は2年前に肉体的な成長が止まっているせいで心も体も同年代よりちょっと幼い。そんな人間がある日突然人類存亡を賭けたような使命を……強いられているんだ!されても「イエスだね!」とかアッサリ返せる訳がない。
「あたしにどーしろってのよ……」
ぼうっと空を眺める。中国は大気汚染がひどいとよく言われるが、なるほど確かに日本より少し濁っている気がする。とはいえ気がするだけであり、恐らくは誤差の範囲なのかもしれない。
このふわふわした気持ちは、久しぶりに日本で一夏と町中を歩いた時に似ている。
周囲から自分だけが切り離されたような浮遊感――昨日に降って湧いた衝撃の真実を周囲がまるで知らずに生きているという事実が、鈴の心に疎外感を生む。それは割と鈴の主観による理不尽な感情なのだが、理不尽になりたくもなるというものである。
『もうすぐ人類が滅亡します』などと言われて、しかもそれを真実だと知ってしまったら、普通の人間は平気ではいられないものだ。1999年のノストラダムスの大予言だのマヤ文明の滅亡予言だのといったホラを鈴は信じてはいないが、案外マヤの予言のどれか一つくらいは的中してしまうかもしれない。
音もなく、前触れもなく、『その時』はすぐ傍まで迫っている。
憂鬱だ。果てしなく憂鬱だ。こんな憂鬱な状態なのに、今の鈴にはこれといって何もやることがない。あるのはせいぜい麟王機の力を借りて『札』をいじくるくらいである。
札をピンと弾き、その札をISを操る要領で念じる。
すると札はうっすらと光り、空中でぴたりと制止した。
これが鈴の内に眠っていた『強念』という奴らしい。現在の鈴にできる特訓はこのように少しずつ念の力を操り、精度を上げていくことしかないらしい。右にすいー、左にすいー、と非常に緩い特訓が続いている。今までの鈴なら「ヤバくない!?アタシってヤバくない!?ユリゲラー超えたんじゃない!?」とか言いながら携帯でその様子を撮影して一夏あたりに動画を送ったりするのだが、正直鈴には心の整理がつかなかった。
「何処から何を説明しろってのよー。突然エスパーに目覚めて『地球は狙われている!』とか言えばいいの?それとも記者会見を開いて『人類に逃げ場なし!!』とか叫べばいい訳?そもそもアタシは何と戦えばいいの?」
教えてくれ千冬先生。麟王は何も言ってくれない……というか単純に鈴を諫めるのに無駄な力を消費したので寝ているらしい。なんなんだこいつ。居眠りキャラか?138億年くらい寝てたせいで4年に一度しか目覚めない超能力警察なのか。もう隠し事はこりごりだっつ
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