五月雨の軌跡
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「しっかし、別嬪さんになったねぇ五月雨〜。」
五月雨の隣に陣取った伊勢が、大人になった五月雨をしげしげと眺めつつ、しみじみとそう言った。その向かいでは夕張がある一点を凝視しながら自分の胸をさすっている。
「私も艦娘辞めたら育つかなぁ……?」
などとブツブツ言いながら、その目にはハイライトが無い。オイオイ、勘弁してくれよ。お前は俺の車の専属メカニックだし、工厰班の無くてはならない人材だ。居なくなられたら困る。
「まぁまぁ、積もる話は飲みながらにしよう。提督、私はいつもの達磨だ。」
那智、お前は結局飲みてぇだけじゃねぇか!ほんっとぶれねぇなお前!……まぁいいや、この飲兵衛に付き合ってたらこっちが疲れるだけで終わっちまう。
「まぁ、那智もこう言ってるしとりあえず乾杯してからにするか。さぁ、ご注文は?」
口々にビールや日本酒、焼酎等々注文が入る。問題は五月雨だ、鎮守府にいた頃は下戸だったが……
「えっと……『鏡月』のライチ味ってありますか?」
おろ、五月雨の口から意外な名前が。鏡月は韓国メーカーが出している焼酎だが、ふんわり鏡月シリーズは元々クセの少ない鏡月に、フルーツなどのフレーバーを加え、アルコール度数も若干下げて口当たりを柔らかくして飲みやすくした物だ。今現在、『しそレモン』『アセロラ』『ゆず』『うめ』『みかん』『ライチ』の6種類が売られている。
「あぁ、あるよ。どうやって飲む?ロックか?それともソーダ割り?」
このふんわり鏡月シリーズ、ロックでも飲みやすい位角が立たない。しかし割ってやるとその味は大きく変わるのでそのバリエーションでも楽しめる。ソーダや緑茶、お湯割りなんてのも美味い。
「じゃあ……パインソーダ割りで。」
おっと、通だね五月雨。中々手間のかかる割り方なのだが。氷を入れたタンブラーに、お好みのふんわり鏡月を30ml、100%のパインジュースを70ml、ソーダ水を30ml。仕上げにレモン汁を小さじ1/2を加えたらステア。フルーティで甘味が強く、甘口のカクテルのように飲みやすい。さっぱりさせたいならソーダ水の割合を増やし、甘くしたいならパインジュースの割合を増やせばいい。調整はお好みで。俺もめんどくさいから、ふんわり鏡月のライチをソーダ割りでいくか。
「ほれ、乾杯。」
「「「「「「かんぱ〜い!」」」」」」
7つのグラスが打ち鳴らされ、小気味良い音が鳴り響く。しっかし、本当にこれは飲みやすい。チューハイのようにスルスルと入ってしまう。一気にグラスを開けた。
「おっ、いい飲みっぷりだねぇ提督!薄いんじゃないのぉソレ?」
「バカ言え、飲みやすいだけで薄くはねえってのコレは。」
隼鷹に囃されたが、飲みやすいからと侮るなかれ。ふん
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