十二年越しの約束
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俺がニヤリと笑いながらそう言うと、真っ先に口を開いたのは伊勢。
「なになに、寝惚けてんの提督ぅ。だってあの頃の秘書艦の五月雨はーー……」
そこでハッと気付いたように口が開いたまま黙り込む伊勢。だって、俺がニヤニヤ笑いながらチョイチョイと目の前のカウンター席に座っている女性を指差しているから。
「ま、まさか……」
「ほ、本当に……?」
「五月雨、なの…?」
かつての第一艦隊の歴戦の勇士の顔がぐちゃぐちゃだ。座っていた彼女が立ち上がり、クルリと赤城達の方を向く。彼女の顔も涙でぐちゃぐちゃだ。
「皆さん……お久し振りです。元初期秘書艦『五月雨』、戻って来ました。」
そう言って元五月雨である彼女は頭を下げた。そこに抱き付く赤城達。……そう、彼女こそ俺の初の艦娘。鎮守府黎明期を支え、加賀を沈めて半狂乱になった俺を鎮め、そして致命的な怪我によって戦列を離れた元艦娘だ。
「さ、涙はそれくらいにしろや。折角昔の仲間が訪ねてくれたんだ、嬉しい事じゃあねぇの。」
俺も明るい空気を作ろうと声を張り上げているが、鼻の奥が痛い。こいつらが見ていなければ泣いていただろう。
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