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提督はBarにいる。
十二年越しの約束
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約束』、果たしてもらいに来ました。」

 はて?十二年前……約束…?…………あ。

「あ、お前まさか……!」

 全てを言おうとした俺に、彼女はシッ、と唇に人差し指を当てて黙っていて下さい、とジェスチャーをする。確かにな、この場だと無用な混乱が起きかねない。

「まぁ、積もる話は中でしましょう。白露ちゃん、五月雨ちゃんもお仕事頑張ってね。」

「うん!お姉さんもバイバイ!」

 二人は満面の笑顔で女性に手を振っている。彼女も手を振り返しながら微笑んでいる。

「……どうだ?『過去の自分』にあった気分は。」

「複雑ですねぇ。昔のアルバムの中の自分が、抜け出してきたみたいでした。」

 その時の彼女の表情は、懐かしいとも切ないとも取れるような複雑な表情をしていた。




 建物内に戻ると、彼女は懐かしそうにキョロキョロと見回していた。

「変わりませんねぇここは。」

「そらそうだ、ここが爆撃でもされない限り、建て直すなんて事はねぇからよ。」

「もう、そんな不吉な事を言うものではないと思いますよ?」

 と、そこへ一人の艦娘が近寄ってきた。

「あ、お疲れ様です司令官!……あれ、こちらはお客様ですか?」

「よぅ吹雪、悪いんだがよ。今から言う奴等に店に来るように声かけてきてくんねぇか?」

「……?まぁ、別に構いませんけど。」

「お願いね、吹雪ちゃん。」

 女性にも頼まれて首を傾げながらも離れていく吹雪。

「お前なぁ、前とは違う容姿なんだから混乱招くだろが。」

「そういえばそうですね、すいません。」

 まぁいい、兎に角店に戻ろう。その間も懐かしそうにキョロキョロと辺りを見回したり、壁に触れたりして懐かしんでいるようだ。

「うわぁ……ここは随分と様変わりしましたね。」

「まぁな、お前さんが最初で最後に来た時には開店当初で何も無かったしな。艦娘達からの要望聞いて、改装しまくって今の形だからな。」

 そう言いながら俺は彼女に席を勧めた。

「しっかしまぁ……見違えたぜ。」

「まぁ、あの頃は見た目は幼い少女でしたからね。」

 あの頃の姿を知る俺から見ても、かなりの美人だ。スレンダーではあるのだが、ガリガリの痩せっぽちではなくいわゆるボンキュッボンのナイスバディ。その後も当たり障りのない会話を交わしていた所に、執務室の扉がノックされる。

「提督、緊急の呼び出しって何なんです?」

 怪訝な表情を浮かべて店に入ってきたのは赤城。続いて伊勢、那智、夕張、隼鷹。皆一様に呼び出しの意味が解らないと言った表情だ。

「いやなに、久し振りに鎮守府発足直後の第一艦隊が揃ったんでな。十数年ぶりの同窓会でもしようかと思ってな。」


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