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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第57話 水とバンパイア
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 それは、あの騒動(くるむ大暴走事件)の翌日の出来事である。

「ほ…本当にいいの? つくね…?」
「う…… うん……」

 その場所は校舎の外の墓場。
 つくねとモカの2人は、互いに表情を赤く染めながら、見つめ合っていた。そう、まるで、恋人同士の様に、目を逸らせる事無く、互いを見つめ合っていた。

「あ……ああ、嬉しい。とても嬉しい。 つくね…」
「モカさん…」

 軈て、2人の距離が近付いていく。もう間は殆ど無い。ほんの一寸の距離で、ゼロになる程の距離。

「初めてだね…」

 モカは、更に表情を赤く染めていた。


〜あぁ……、ここから恋の物語が綴られてゆくのだろう……〜
 

 それは、人間と妖怪の恋の物語。
 たとえ、身に流れる血は違えど、何も関係ない――。一切、関係ない。人間も妖も――、信頼しあい、……そして、愛し合う事は出来るんだ。この2人の様に。




 と、なれば つくねにとっては、ハッピーエンドも良い所なのだが、現実は少し違うし、そうそう甘くは無い。モカは凄く美人だから、こう言うシチュエーションだけでも最高だと言えるが、つくねにとっては少々試練の場でもあったりする。

「つくねから血を吸わせてくれるなんて♪♪」

 モカの赤面し、うっとりとさせていた表情が変わって、今度は、とびっきりの笑顔になった。
 ぴょんっ、とつくねに抱きついて、そのままいつも通りに……。
 
 “かぷっ ちゅうううぅぅぅ”

 と、つくねの首筋にかぷりと一噛み。


「ぎゃああああああああああ」


 それは、つくねから了承した事ではある。……が、それでもやはり 痛い物は痛いらしい。モカの八重歯は、人間のそれより更に鋭いから、やっぱり。……そして、更に言えば、噛むのが目的ではなく、その後の血が本命。血を抜かれてしまう為、貧血気味になってしまうと言う二重苦である。


 つくねは、ふらふらになりつつ、何とか立っていようと墓にもたれかかっていて、モカは両手で頬を触って、顔を赤くさせながら悶えていた。

「あぁ……、つくねの血……、やっぱり おいしい……っ♪ 最高っ……!」

 バンパイアにとって人間の血は大好物。更につくねの血は 別格の様で、モカの頬が艶々と輝いていた。だが、その反面 つくねの顔はシワシワになっいた。

「(………おかげで貧血気味… でも モカさんわかってくれないんだよなぁ………)」

 つくねの首筋からは、まだ血が吹き出ていた。ただでさえ貧血な上に、このままじゃ、出血多量で死んでしまうのでは? と思える量だけど、所謂ギャグっぽい出血なので、大丈夫そうだ。

「(で、でも! 正直、カイトに負けたくないんだよぉ……、 今のところ… |人
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