暁 〜小説投稿サイト〜
ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第57話 水とバンパイア
[10/21]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
つくねが、水着姿の女の子とイチャイチャしている所を、見てしまったから、もうそうはいかなかったのだ。

 その時。

“パッシャッ!”

 突然、水飛沫がモカに襲い掛かった。……傍から見れば、それは ただ、水を掛けられた、だけなのだが……。

「きゃあ!!」

 モカにとっては、ただではすまない。
 水をかけたのは、先ほどまで つくねと一緒に泳いでいた 水泳部部長である一之瀬(いちのせ)珠魚(たまお)。悪意を持って、モカに水をかけたのだ。……全てを知っていて。

「……別に、見学は自由だけど ケンカは目障りね。 それに子供じみてるわね。 わかってくれるとかくれないとか… くだらない! 男と女に必要なのは奪うか奪われるかでしょ? それに、泳ぐ気がないのならさっさと出て行ったら?」

 そう吐き捨てたのだが、モカは聞いてなかった。何故なら、水が、彼女の身体にかかったから。

「きゃああ! み、水がっっ!!」

 顔にも水がかかり、視界が一気に悪くなる。慌てて、モカは水泳部から逃げる様に走っていった。

「モカさん!!?」
「まって!! つくね! ちょっと待ってて!!」

 それでも、つくねに一声かけているのは……モカなりのやさしさだったのかもしれない。
 しっかりと、つくねに言ってなかったから、こうなってしまったのだから。

「あら? うわさは本当だったのね……!」

 逃げ出すモカを珠魚は悪意のある顔で微笑みながら見ていた。










 慌てて逃げだしたモカは、プールの入り口で膝をついていた。

「はぁ… はぁ…」

 彼女の身体周囲がまるで放電しているかの様に、バチッ バチチッ と稲光が瞬いていた。

『この馬鹿がっ… なぜプールになど近付いた!』
「ま… またロザリオ…が…」

 そんな時に、モカの苦しみを、共有しているであろうもう一人のモカが、ロザリオを介して、話しかけた。

『水を浴びればそうなって当然だ! 水と妖気が反発しあって電気が走ったように体が痺れるだろ!? 水は私達バンパイアの弱点なんだぞ!!』

 そう、バンパイアは《水》の持つ《清めの力》に非常に弱い。水を浴びれば体に電流が走ったかの様に痺れる上に、妖気が全く出せなくなってしまうのだ。自身を守る妖気も出せなくなってしまう為、最悪の場合死にいたる事も在る。

『お前の体はもう1つの人格である私の体でもあるんだぞ!! 無茶な行動は慎め! もうつくねなんかに振り回されるな!!』

 今のモカが傷つけば……、最悪、死んでしまえば、当然裏の人格のモカも同じ運命だ。封印されているとはいえ、肉体は1つなのだから。だからこそ、叱咤したのだが……。

「や…やだ…」

 モカ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ