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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第57話 水とバンパイア
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げない》という、他人と違う劣等感で自分を責めてな。 ……あいつは今までそうやって人間の社会で傷ついて生きてきたんだ」

 そして、目を開きつくねを見た。睨む様に。

「自分の事しか考えられぬような男に私の側にいる資格は無い! 失せろ…… 月音」

 モカの言葉を訊いて、つくねはただただ、後悔をしていた。悔いても悔いても……もう、してしまった事実は変わらないから、ただただ自分自身を責めていた。

 そんな、つくねを見たくるむは、必死に慰めていたのだった。
 傷心のつくねを助けて、あわよくば――と考えなくも無かったが、それでもつくねの落ち込み具合を見てしまえば、早々強気ではいけないから、ただ下心なく、つくねの介抱をしたのだった。






「タオル、すまなかったな。カイト」

 つくねから離れたモカは、ロザリオを手に持ち、カイトに改めて礼を言った

「……厳しいな、モカ」

 確かに、モカは苦しんでしまったのは間違いない。心も身体も。でも、つくねの事情を、モカが知らない、と言う訳ではない。完全に、とは言えないが、忠告をカイトはしたはずだから。……それでも、配慮に欠けていたと言わざるを得ないだろう。

「無知は罪とまではいかないが、気付ける場面はあっただろう。そこはつくねの落ち度だ」
「……そうだな。ちょっと不謹慎だった。オレ自身にもある。互いに反省はするよ。……さて、モカも、そろそろ休んだ方が良い。結構なダメージだろう?
「ふん……、この程度 大した事は無い」

 水はバンパイアの弱点だ。強大な妖力でごまかせるかもしれないが、戦闘を終えた今、ダメージを思い出したとしても、不思議ではない。

「(強がりに見えるが……、まぁ、素直にモカがきくとは思えないけど)」

 カイトがモカの表情を見て、色々と考えていたその時だ。

「……なんだ!?」

 ギロリと睨まれた。 心読める、と言うのだろうか。

「ははは…… いや なんでも無いさ。んっと、そうだモカちょっといいか?」

 カイトは、何かを思いついた様に、モカに近づく。

「む? なんだ?」

 何かあるのか? と思ったモカ。だけど、カイトの行動は、モカの頭上に右手をを伸ばすものだった。そう、まるで『よくできました』と頭を撫でるかの様に。
 そんな事、プライドが決して許せないモカは。

“ヒュッ!!”

 カイトの右手の返答に、前蹴りを放った。カウンター気味に。
 
 でも、それも読んでいたカイトは、前蹴りを左手で受け止める。

「はぁ、モカ。オレ、一応真面目。大真面目なんだ。ちょっとだけだから我慢してくれないか?」
「ちっ……、一体何なんだ?」

 モカはカイトが真剣な顔をしていた為か素直に我慢した様だ
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