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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第57話 水とバンパイア
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がバンパイア!!」

 モカが、完全に覚醒した。まだ、水に浸かっているがそれもまるで問題ない、と言わんばかりに佇んでいた。

「……よくも、……よくも好き放題やってくれたな……、貴様ら」

 強大な妖気を纏ったモカが珠魚を睨んだ。睨んだだけで、威圧される。圧倒的な強者が持つオーラだったが、それでも珠魚は完全に折れる事はなかった。

「くっ……何よ! どこまで邪魔すれば気がすむの!? 月音くんは私が目ェつけたんだからね! 絶対あなたなんかには渡さないんだから!!」

 そう言うと、竦みあがっていた部員達に号令をかけた。

「さっきの妙な風? も無くなったことだし! あんたには消えてもらうわ!!!」

 動けるようになった部員達は一斉にモカの方へ向かった。
 モカを威嚇するように、モカの周囲で泳ぎ始める。

「あなたがどれだけ強いか知らないけど、水という領域(テリトリー)では人魚が上! 命乞いするなら今のうちよ!!」

 珠魚は、腕のヒレを出して構えた。

「……フン。 食う事しか頭に無い低級妖(サカナ)の分際で 笑わせるな」

 そのモカの言葉が癇に障ったのだろう。ただ、周囲を取り囲むだけだった人魚たちが。

「何をーー!」
「この女ーー!!」
「死ねー!」

 一斉にモカに襲い掛かった。
 だが、それも読んでいたモカは、一気に跳躍して回避。水に半身が浸かっていたとはいえ、そこはバンパイアの脚力。問題なく宙高くに回避した。

 だが、如何に覚醒をしたとしても、弱点である水によるダメージは、大きいのか、いつものキレはなかった。

「ふん! 動きが鈍いわ!! 口では強がっても ずいぶんと弱ってんのね!! 空中ではいい的よ!!」

 水から一斉に、飛び上がりはじめた。

「死ねーーーーー!!」




「モ、モカサーーーーーん!!」

 あまりの数につくねは思わず声を上げた。多勢に無勢とはこの事だ、と言える程の量だったから。だが、そんなつくねを諫めるのはカイト。

「少し落ち着けつくね。ケガはしてないか?」
「っ!!? だ、大丈夫! でも カイト!! でも! あんなに人魚が!!」

 水の中でも取り囲まれていた人魚。水から逃げれば終わりだと思っていたのに、まさかのジャンプにつくねは慌てていた……が、カイトは実に冷静だった。軽く笑って、つくねに言う。

「ああ、つくね。ほら、考えてみろ。 確かに、水棲生物。水の妖である人魚は水の中では最大限の力を発揮するな。当然だ。……だが、今、あいつらがいる場所は何処だ?」

 カイトが、つくねにそういうと殆ど同時だった。

 空中で、器用に回転して、珠魚たちの攻撃を躱すモカ。

「!!!?」
「こうも簡単に釣れ
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