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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第57話 水とバンパイア
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は、主人格であるモカは、苦しみながらも、それを拒否した。

『何…?』
「もう嫌だよ… こんな体… どうしてわたしは皆と一緒じゃないの 変だよ… わたしもつくねと泳ぎたいよ……」

 それは、人間界にいたころの辛い記憶。

 他人と、自分は違う。全く違う、と言う劣等感。モカは、かつてのつらい記憶を思い出して、涙を流していた。自分の事を判ってくれた初めての男の子、つくねと一緒にいられない、同じことを出来ない、と言う悲しみもあった。

『………』

 彼女の悲しみをより知っているからこそ……、それ以上、裏のモカも何も言わなかった。









 一方そのころ、プール内は修羅場と化していた。

 水泳部員達は、妖の本性を現して、次々と体験入部してきた男子生徒を襲っていたのだ。

「し……、新入部員を餌扱いする危険な部活があるってきいたけどまさか本当に!!」
「わーーーにげろーーー!」
「こ、こいつらの正体は、人魚(マーメイド)!!」

 逃げ惑う男子たち。だが、水の中ではどうしようもない。完全に囲まれてしまっているのだから。

「皆の精気も吸わせてね〜!」
「逆らっても無駄だよ? わたし達水の中じゃ無敵だから!」
「だーいじょうぶ! 命までは盗らないから ♪」

 その上、人魚(マーメイド)達は、逃げられない様に、プールに巨大な渦を作った。凄まじい水流に足を取られ、完全に逃げる事が出来なくなってしまったのだ。

「(なんてことだっ! 人魚ってこんなに怖いものなの?? 襲われる!! 殺されちゃうーー!!)」

 そして、水の中でもつくねの反応(リアクション)は健在である。

 左右に動きオロオロしていた。今の間に逃げればよかったのだが、完全に足がすくんでしまった様だ。
 カイトがこの場にいればまず最初に笑っていただろう。……それどころじゃない気がするけど。

 その時。

「ふふ… あわてなくても大丈夫…」

 水中から、珠魚が出てきてつくねの背中に抱きついたのだ。

「ひっ!」

 恐怖していた最中だったから、つくねは、軽く悲鳴を上げた。

「あなたは特別よ 月音くん! 実はね… 私、入学式の頃からあなたに目をつけていたのよ……、 だからね。 それからはずっとあなたに夢中なの…だってホラ…」

 まるで口裂け女の様に――、珠魚の口がどんどん裂けて言った。
 それは、優雅なイメージのある人魚からはかけ離れた姿。……完全に化け物の顔になった。
 大きく口を開けたまま――、つくねに襲い掛かる。

「月音くんって人間みたいなおいしそうな匂いがするから、ずっとあなたを食べたくてぇ!!」
「うああああああああ!!」

 つくねが叫び声をあげ
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