虚像-フェイク-part3/虚を砕く者
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〈エメリウムスラッシュ!〉
ゼロは額のビームランプから閃光を放ち、ヤマワラワが投げようとした岩を粉々に吹き飛ばした。その爆発で動揺したヤマワラワを、ゼロは両手をつかむことで動きをようやく封じることに成功する。だがヤマワラワは、その腕さえもその馬鹿力で振りほどこうとする。
「ぐぐ…んの…!!」
ゼロもさらに力いっぱい、レオとの特訓や、これまでの戦いで鍛えられた己の肉体の力をフルに使ってヤマワラワの力を抑え込んだ。
「思い出すんだヤマワラワ!昔、君は康祐さんと祐一君の親子と遊んだ、とても人懐っこい子だった!
二回目に会ったときは、マハゲラを倒すために、一緒に戦ったよね!?」
ムサシのサイドの呼びかけに、ヤマワラワはピクッと反応を示した。よし!と手ごたえを感じたムサシは、さらに呼びかけを続ける。
「カオスヘッダー!君とは何度もぶつかり合ってきた!あの時の君は、生命としては未熟だったかもしれない!でも、最後に戦った時、今では愛と優しさを理解してくれたのを忘れたのか!?思い出してくれ、カオスヘッダー!もう僕らが君と戦い理由なんてないはずだ!」
ムサシの強い決意を固めた心に、ヤマワラワの力がさっきよりも抜け始めた。だんだんと、ヤマワラワやカオスヘッダーの本来の意思が蘇りかけているのだ。
よし、いまだ!ゼロもヤマワラワを背後から羽交い締めて取り押さえると、彼の体からまばゆい光が溢れだし、彼に捕まっているヤマワラワの体に浴びせられていく。
ゼロ自らが独自に編み出した浄化技〈ウルトラゼロレクター〉。
ヤマワラワは必死になってもがくが、ゼロは決して離すまいと、彼をより強く取り押さえた。
光はやがて、二人を完全に包み込んだ。
「ヤマワラワ……カオスヘッダー……」
ムサシは確かにヤマワラワたちのことをサイトたちに託した。けど、やはり元に戻せるかどうかは、求めた結果が現実にならない限り不安なのだ。
ふと、ムサシの耳に聞こえてきた。
わだかまりを越えて繋がれた、かつての宿敵の声が。
『ムサシ…コスモス…』
「っ!この声は、カオスヘッダー!」
野太い男のような声をムサシは知っていた。間違いなく、カオスヘッダーの声だ。すると、ヤマワラワの動きが止まり、ゼロへの抵抗をやめてしまった。
さらに、ヤマワラワの体から光の粒子状の何かが現れ、浮かび上がった。
「あれが、カオスヘッダー…」
秩序をもたらすために、ひと時の混沌を与える光のウイルス…だった存在。ゼロもあの光から強い力を感じた。
『我らのために…ここまで来てくれたのか…』
「当然のことだよ、カオスヘッダー。もう僕たちは仲間じゃないか」
『仲間…か』
悪の存在だった頃の自分が聞けば正気の沙汰ではないと思うだろうが、今は違う。カオスヘッダーは人間と同じ心を手に入れている。ムサシ
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