プロローグ3 絶望に染まる艦娘
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ないし、資材なども僅かに残っている可能性がある。当分の間身を潜めるにはうってつけの場所だ。
(方角は大体把握することができました)
榛名はそう思うと、壁に掛けられている時計を見た。時刻は○一○○を示しており、すでに就寝時間を過ぎていた。榛名はそっと窓に近づき、外の様子を窺う。外は暗く、人がいる気配は感じられなかった。どうやらほとんど寝静まっているようだ。
榛名はベッドに横になって眠っている夕立に近づくと、そっと起こした。
「夕立ちゃん、起きてください」
「榛名…さん?」
「夕立ちゃん、そろそろここから逃げ出しますよ」
「!」
榛名がそう言うと、夕立が真剣な表情になって頷く。
榛名は部屋の電気を消すと、静かに扉を開ける。廊下人影は無く、人の気配も感じられない。榛名は夕立の手を引くと、音を立てないように気をつけながら歩き出し、艤装が保管されている工廠へと移動する。
榛名と夕立はそこでそれぞれ自分の艤装を装備した。海に出る以上、深海棲艦と戦闘を行う可能性もあるからだ。
(早くしないと………)
榛名がそう思っているとーーーー
「おい貴様ら!!そこで何をしている!!」
ーーーー突然男の怒号が飛んできた。榛名と夕立が驚いて声のした方を見ると、そこには懐中電灯を持った怒りの表情の憲兵がいた。
(見つかった!)
そう思うと同時に、榛名は艤装を装備した夕立の手を引いて、出撃ゲートから海へと飛び出す。そして全速力で移動を開始した。
ーーーーウウゥゥゥゥゥゥゥ!ーーーー
佐世保第十三鎮守府からサイレンの音が聞こえてくる。どうやら榛名と夕立が脱走したことが大車提督に伝わってしまったようだ。艦娘達に追いつかれるのも時間の問題だろう。
(なんとか振り切らないと………!)
榛名はそう思うと、手を引いている夕立に聞いた。
「夕立ちゃん、大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫……っぽい」
夕立が頷く。それを見た榛名は頷き、前に視線を向ける。その直後ーーーー
ーーーードォォォォォン!ーーーー
突然榛名と夕立の近くで巨大な水柱が立ち上がった。驚いた榛名が背後を振り返ると、そこには榛名達を追いかけてきた長門達の姿があった。全員艤装を装備し、探照灯を榛名達に向けて照らしている。
(追いつかれた………!)
榛名はそう思うと、怯えた表情になっている夕立を庇うように前に立ち、長門達と対峙する。長門達もすぐには主砲を撃とうとせずに、榛名と夕立の前で止まった。
榛名が目の前にいる長門達を警戒していると、長門が榛名と夕立に言った。
「………榛名、夕立。今すぐに鎮守府に戻るんだ。今
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