プロローグ3 絶望に染まる艦娘
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
………
……
…
深海棲艦への奇襲作戦が終了してから数週間後、佐世保第十三鎮守府は防空棲姫を撃沈したということで大本営から表彰され、他の鎮守府からも一目置かれるようになった。
しかし、そのことで佐世保第十三鎮守府に所属する艦娘への負担はさらに大きくなった。
以前よりも大車提督は艦娘を酷使するようになり、今まで以上に轟沈する艦娘が増えた。また、多くの資材が支給されるようになったが、艦娘達にはほんのちょっとしか使用されず、そのほとんどが大車提督の懐に入っていった。さらに提督だけではなく、憲兵達の慰み者にまでされるようにまでなった。
しかし大車提督は報告書を全て捏造していたため、大本営には一切バレることがなかった。
そしてあの日から10年が経ち地獄のような日々が続く中、榛名はずっと自室に引きこもっていた。その原因は10年前の深海棲艦への奇襲作戦において、榛名は民間人の乗った船に誤射してしまい、民間人を殺してしまった。それ以来榛名はずっと自責の念に囚われ続けていた。夜に眠っている時も悪夢としてあの日の光景が蘇ってしまうのだ。
しかし大車提督はそのことで榛名の扱いを変えてくれるはずもなく、無理矢理出撃させて、失敗しては暴力を振るわれて懲罰房に入れられ、夜には夜伽の相手をさせられた。そのため、榛名の精神は限界を迎えていた。
「………」
榛名はベッドに腰掛け、死んだ魚のような暗く濁った眼で天井を見つめ続ける。しかし、その直後榛名の脳裏にあの日見た防空棲姫の憤怒の表情と叫び声が蘇った。
『キ……キサマラァァァァァァァァッ!!』
「!…もう……やめてぇ………!」
榛名は怯えた表情で両耳を塞ぎ、うずくまって身体を震わせる。そして震えた声でそうつぶやいた
もちろん、今のは全て幻覚である。そうしたところで何かが変わるわけではない。しかしこうしなければ、榛名の精神は崩壊しそうだった。
ーーーーコンコンーーーー
そのとき、扉がノックされる音が聞こえてきた。それと同時に榛名を苦しめていた幻覚が消える。榛名は顔を上げてゆっくりと立ち上がると、扉に近づいてそっと開けた。
「どちら様ですか………?」
榛名が扉を開けると、そこに立っていたのは特型駆逐艦の一番艦『吹雪』だった。かなり慌ててここに来たのか、顔には汗が浮かんでおり、息も切れ切れだった。
「吹雪さん、一体どうしたのですか?」
「は、榛名さん……!夕立ちゃんが………提督に呼ばれて………!」
「ッ!?」
吹雪の言葉を聞いた榛名に衝撃が走った。それと同時に、脇目も降らずに執務室へと向かって走り出す。
(夕立ちゃん………!)
もうすぐで執務室にたどり着こうとしたと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ