プロローグ3 絶望に染まる艦娘
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督はお互いに一歩も譲らずに言い続けた。
しかし、大車提督が放った一言で全てが決まってしまった。
『早く攻撃しろ!『あの駆逐艦』がどうなってもいいというのか!』
「!」
大車提督の言葉を聞いた榛名はついに限界を迎えてしまう。
大車提督の言っていた『あの駆逐艦』とは、榛名がずっと面倒を見ていた夕立のことである。
榛名は別にどうなってしまおうとも構わない。しかし、夕立の身に何かあってしまったら榛名は耐えることができない。
民間人と夕立、二つに板挟みになってしまった榛名はパニックに陥ってしまった。
「や……やめてぇぇぇぇぇぇっ!!」
榛名はそう叫ぶと同時に間違って砲撃してしまう。
ーーーードォォォォォン!ーーーー
榛名の砲撃の内一発は防空棲姫の背中に命中し、防空棲姫が倒れ込む。しかしもう一発は防空棲姫から大きく外れてしまい、民間人が乗っている船へと飛んでいった。
(あ……だめ………)
榛名はそう思ったが、もう遅かった。
ーーーードガァァァァァァン!!ーーーー
砲弾が船に命中し、大爆発を起こす。そして水底へと沈んでいった。
榛名は無関係の人間を殺してしまったのだ。
「あ……あぁ………!」
その事実に榛名は眼を大きく見開き、声を震わせる。
すると、座り込んでいた防空棲姫がゆっくりと振り向く。そして榛名を見た瞬間、防空棲姫の表情が怒りに染まった。
「キ……キサマラァァァァァァァァッ!!」
防空棲姫が憤怒に満ちた声で叫ぶ。それを聞いた榛名の精神はついに限界を超えてしまった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
榛名は悲鳴をあげると、防空棲姫をはじめとした深海棲艦達に向かって砲撃する。榛名だけでなく、他の艦娘も防空棲姫の憤怒に満ちた叫び声に恐怖してしまったのか、一斉に砲撃する。
「よせ榛名!もうやめるんだ!」
長門にそう言われた榛名は砲撃をやめ、水面に座り込んでしまう。他の艦娘も砲撃するのをやめた。
榛名達の目の前では黒煙が広がっていたが、やがて黒煙が晴れてくると防空棲姫をはじめ、南方棲鬼や戦艦棲姫、他の深海棲艦の姿は何処にもなかった。おそらく榛名達の砲撃で全員撃沈したのだろう。
しかし榛名は茫然自失となっていたため、深海棲艦を気にする余裕などなかった。
そんな榛名に長門が肩を貸して立ち上がらせる。そして近くにいた夕立に言った。
「夕立、すまないが榛名に肩を貸してやってくれ」
「は、はい。…………榛名さん」
夕立が近づいてきて、榛名に肩を貸してくる。
「………これより鎮守府に帰投する」
長門の声とともに、榛名達は鎮守府へと帰投していった。
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