プロローグ3 絶望に染まる艦娘
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向かっていた方向を見た。そして、信じられないものが眼に入った。
「……え……うそ………」
榛名は思わずそうつぶやいてしまった。榛名の眼に入ったのは、『民間人が乗った小型の船』だった。
榛名は慌てて旗艦である長門に伝えた。
「な、長門さん!防空棲姫が向かっている先に民間人が!」
「な、なんだと!?奴らめ、民間人を人質にする気か!」
長門がそう言ったが、榛名は防空棲姫が民間人を人質にするようには思えなかった。もし民間人を人質にするのなら防空棲姫だけではなく、南方棲鬼と戦艦棲姫も向かうはずである。しかし、南方棲鬼と戦艦棲姫は向かわずに砲撃を激しくしていた。それはまるで、防空棲姫が民間人のところに向かうのを邪魔させないような感じだった。
そして、防空棲姫は民間人を見つけた瞬間に突然慌てだした。いや、防空棲姫というよりも深海棲艦達と言った方が正しかった。
(……もしかして)
その時、榛名の頭にある可能性が浮かび上がった。それは本来ならありえない可能性だった。しかし、これ以外に納得できる答えが見つからない。
榛名は長門に言った。
「長門さん、もしかして防空棲姫は民間人を助けに向かったのではないでしょうか?」
「深海棲艦が民間人を助けるだと?そんなことがありえるのか?」
「……確証があるわけではありませんが、もし民間人を人質にするのでしたら全員で向かうはずです。ですが民間人のところには防空棲姫だけが向かっており、他の深海棲艦は防空棲姫の行動を邪魔されないようにしているように見えます。それらのことから、防空棲姫は民間人を助けようとしていると考えた方が自然かと」
「にわかに信じ難い話だが…………しかし、奴らが民間人を助けるというのなら我々が黙って見ているわけにはいかん。榛名、お前も民間人の救助に向かえ。奴らが本当に民間人を助けるというのなら、攻撃をしてこないはずだ」
「了解しました!」
長門にそう言われた榛名が民間人の救助に向かおうとしたとき、通信機から大車提督の声が聞こえてきた。
『おい榛名!勝手な行動をするな!今すぐ『災厄』を沈めろ!』
「だが今攻撃すれば民間人が乗っている船に命中するぞ!」
『黙れ!今が『災厄』を沈める好機なんだぞ!黙って俺の言うことを聞け!』
「榛名!命令を無視しても構わんから、民間人を救助するんだ!」
長門と大車提督がそれぞれそう言ってくる。本来なら迷うことなく民間人を助けることを選ぶのだが、ここに来て身体に染み込んでいた大車提督への恐怖が反応してしまったのか、一歩も動くことができなかった。
「榛名は……榛名は………!」
榛名は顔を青ざめさせ、身体を震わせていく。それでも長門と大車提
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