プロローグ3 絶望に染まる艦娘
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たが、その度に敗北させられては怒った大車提督に暴力を振られ、入渠させられなかったり、補給させられなかったりした。
その防空棲姫が、今回の奇襲作戦の対象となっている深海棲艦の中に入っている。中途半端な戦力では、確実にこちらが敗北するだろう。
すると、大車提督が言った。
「貴様らはなんとしてでも『災厄』を沈めろ。逃がすことだけは絶対に許さん」
「………あの、市民への避難勧告はどうするのですか?」
大車提督に正規空母である翔鶴型一番艦『翔鶴』がそう質問した。深海棲艦と戦う以上、本土への襲撃も考えられる。そのため、本来なら市民へ被害が出ないように避難勧告をするのだ。しかし未だに避難勧告は出されていない。
すると、大車提督がため息を吐いて言った。
「そんなことをしたら、深海棲艦共に気づかれるだろう。だから避難勧告はしない」
「な!?」
大車提督の言葉に翔鶴が驚愕する。翔鶴だけではない。他の艦娘も驚愕の表情を浮かべていた。
(そ、そんなことしたら市民の皆さんに被害が出てしまいます!)
榛名はそう思った。翔鶴も同じことを思ったらしく、大車提督に反論した。
「て、提督は一体何を考えているのですか?!」
「俺に指図するな!!」
「あっ………!」
翔鶴にそう言われ怒った大車提督が翔鶴を張り倒す。翔鶴はそのまま床に倒れ込んでしまった。
「翔鶴さん!」
翔鶴が張り倒されると、艦娘達の中から黒い胸当を付けた白い道着に赤色のミニスカートのような袴をはいた黒髪の女性が慌てた様子で翔鶴に駆け寄った。正規空母である赤城型一番艦『赤城』だ。赤城は翔鶴の先輩で、翔鶴が配備されてからずっと面倒を見てきていた。
赤城は翔鶴に駆け寄ると、恨めしそうな眼で大車提督を睨みつける。それを見た大車提督が額に青筋を浮かべて言った。
「………いいだろう。貴様らは出撃せずに懲罰房にでも入っていろ!」
「………了解、しました。赤城、翔鶴両名共に懲罰房に入ります」
赤城が怒りを堪えた声でそう言う。そして翔鶴に肩を貸して立ち上がらせる。張り倒された翔鶴の頬は赤く腫れており、見るからに痛々しかった。
「赤城さん……」
「翔鶴姉……」
赤城と翔鶴が大広間を出ていこうとしたとき、加賀型一番艦の『加賀』と翔鶴型二番艦の『瑞鶴』が心配そうに声をかける。赤城と翔鶴は微笑みながらそれぞれ言った。
「大丈夫ですよ、加賀さん」
「瑞鶴、心配しなくても大丈夫よ」
赤城と翔鶴がそれぞれそう言って大広間から出ていく。赤城と翔鶴が大広間から出ていった後、大車提督が榛名達をぐるりと見回して言った。
「貴様らも懲罰房に入りたくなかったら、
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