第二十五話 最後の言葉その十
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「ですがそれでもですね」
「認めていることは事実ですね」
「そしてそれがですか」
「帝国にとってもいいことですか」
「諸侯だけでなく商工業者個々の信仰も認めて」
そしてというのだ。
「踏み込んだ部分もあるので」
「あの様にですか」
「調和が出来た状態になっていますか」
「かえって帝国を動かしている」
「そうなのですね」
「バランスが崩れると危険ですが」
マリーはこのこともわかっていた。
「新教徒達が皇帝に背けば」
「その場合は、ですね」
「帝国は乱れる」
「そうなるのですね」
「今あの国も皇帝に権限を集中させていっています」
この国や王国と同じ様にだ、実は帝国は他の国に比べて諸侯の力が強い領邦国家だがそれを変えようとしているのだ。
「そしてそれはかなり成功していてです」
「新教徒達もですね」
「あの国における彼等も」
「皇帝の下にある」
「そうなっていっているのですね」
「そうです、ですから我々もです」
この国にしてもというのだ。
「王の下にです」
「旧教も認める」
「そうすべきですか」
「はい、ただ」
ここでこうも言ったマリーだった。
「旧教と新教の融和も進めるべきです」
「双方のですね」
「融和もまた、ですか」
「進めるべきですか」
「そちらも」
「そうも考えています、我が国の新教は国教会ですが」
新教と言っても複数の宗派が存在している、教皇庁の下にあり教義的には統一されている旧教とはそこが違うのだ。
「国教会の儀礼等に旧教のものを入れていき」
「そうしたことでもですか」
「融和を進めていくべきですか」
「新教の優位を保ったまま」
「そのうえで」
「そうも考えています、少なくとも兵を挙げてはなりません」
まだ諸侯達には多くの兵がある、このことは新教側も同じだ。だがマリーは兵を持つ彼等にそれを禁じた。
「若し動かせばです」
「その時は、ですか」
「我々は」
「謀反人とみなします」
こう告げたのだった。
「そして断罪します」
「兵よりも教義ですか」
「それで旧教に対せよというのですね」
「分けてもよく」
「そして融和もですね」
「行っていくのですね」
「そうです」
これがマリーの考えであり新教の諸侯達に話したことだ。
「そうします」
「左様ですか」
「その様にしていくべきですか」
「ではこの度は」
「教義で迎えうちますか」
「そうです、しかし気になることは」
そのことはというと。
「太子ですが」
「マイラ様の夫であられるあの方ですか」
「あの方についても思われますか」
「恐ろしい方です」
太子についてはこう言うのだった。
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