第二十五話 最後の言葉その九
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「戦場でも同じです」
「勝たねばならないと苦しく」
「引き分けでもいいと思えば」
「それに力関係もですね」
「我々の方が有利です」
この国の現状はそうだ、新教徒達の方が優勢だ。ただ帝国ではこれは逆であり旧教の方が優勢であり王国はさらにそうだ。
「ならばその優勢も使い」
「引き分けにです」
「持ち込んでもいいですね」
「我々は」
「相手は勝たねばなりませんが」
ロドネイ公も目を光らせつつ言った。
「それでも我々は」
「はい、あくまでです」
「引き分けでもいい」
「優勢な状況を保つこと」
「そう見ています、逆にこの国を新教で一つにしますと」
逆にそうすればというのだ。
「よくないと思いますし出来るものではありません」
「逆にしようと思えば」
「そう思えばですね」
「かえって厄介なことになりますか」
「その場合は」
「若し我が国を新教で一つにするのなら」
その場合もだ、マリーは話した。
「兵、そして新教の異端審問を使い」
「教皇庁がしている様にですか」
「ああしたことをしないとですか」
「出来ませんか」
「はい、十字軍を起こすしかないです」
ここには異端審問も入っている、徹底的に行うそれが。
「若しそうなれば」
「まさに地獄ですね」
「王国の南部であった様な」
「徹底的な殺戮になりますね」
「旧教徒達に対する」
「多くの者が死にます」
その戦乱によってとだ、マリーはその場合に現実になることを話した。
「田畑も街も荒廃し、そして」
「帝国とも」
「あの国ともですね」
「関係が悪くなる」
「そして教皇庁も黙っていませんね」
「王国もそれを口実として何をしてくるかわからないですね」
「そうしたことを考えますと」
どうしてもというのだ。
「出来ません」
「兵を以て国を一つにする」
「この国から旧教を完全に消すことは」
「出来るものではありませんししようとしてもいけません」
決して、というのだ。
「そうしたことは」
「実行してもいいことはない」
「それこそ何一つとして」
「国が栄えるどころか亡国ですか」
「その行いですか」
「そうです、今の我が国は共にあるからこそです」
新教と旧教の二つの教えがというのだ。
「かえっていいのです」
「よく旧教、新教で統一すべきと言われますが」
「あらゆる国で」
「そうではないのですね」
「共にあっていい」
「むしろそれが国を栄えさせるのですね」
「帝国は旧教の守護者ですが新教を認めざるを得なくなりました」
彼等の力が大きくなったからだ、商工業者だけでなく諸侯にも増えて彼等の反乱や離反を危惧してのことだ。
「教皇庁にも反発されていますが」
「それでもですね」
「旧教の有利を保ったまま」
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