第一部:ゲート 開けり
第三偵察隊 初遭遇する
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気安く呼び捨てで名前を呼び合う仲だ。
だからこそ、彼にとって伊丹のオタク気質や怠け者な性格が少し気に入らないのだ。これさえ無ければ立派な戦士として世界中で大活躍できるだろうと。そしてこのような油断している時にこそ、敵にとって好都合であることを痛いほど知っているので、気を引き締めるためにこのような態度を取り警戒を促したのだ。
そんな真面目な軍人という態度を取る彼を、黒川と栗林という二人の女性自衛官が隣から車の窓ごしに尊敬した様子で見つめている。二人はまだ見ぬ「二重橋の英雄」という二つ名を持つ偵察隊隊長に畏敬の念を抱いていたが、その英雄は実際は怠け者でオタク気質な男で、どう見てもその人とは思えなかったので軽く失望していた。なにせ何か隙があれば仕事をサボろうとして、
同じ趣味嗜好を持つ同志と一緒にオタク談話で常に盛り上がっているのだ。オタクや怠け者などには悪印象しか抱いていない人間にとって、
これで信頼や好意を抱こうという話がそもそも無理な話だ。
しかし、同じく活躍した外国の特殊部隊員の男たちは、軽口を言い合いながらも優れた戦士であることを証明する技量を見せたり、テキパキとした行動を訓練などで取っているので、一人の人間として実に尊敬できる人たちであると思っている。なので特に結婚願望が強い栗林なんかは、ソープらに男らしさや逞しさを感じて密かに狙っているので、熱い視線を送っているのだ。
最も、彼女の事は彼を含め彼らはとっくに知っており、ソープをからかう絶好のネタとなっている。
「しかし伊丹隊長の言う通り、先ほどから走っていますが何も目新しいものが見つかりません。本当に地図は正しいんでしょうか?」
「富田の言う通り、ちょっと確かめる必要があるかもな。
一応後10km程度進んだら一度車を止めて、休憩と同時にもう一度地図の確認作業に入ろうか皆。確かこの辺りに森林地帯があったはずなんだが……」
富田 章(とみた あきら)二等陸曹が窓の外に広がる景色を見ながら伊丹にそう話すと、彼はしばらく進んでからの休憩&地図確認作業の実施を宣言した。その言葉を無線越しに聞いた第3偵察隊一同は「了解」と答え、少し気を引き締めながら次の休憩時間に備えて休む準備を整え、無事に着いて停車すると外に出て周囲の偵察を軽く行い、
危険が無い事を確かめるとそのまま休憩時間へと突入した。
停車した場所は近くに身を隠すのに適した茂みが幾つか存在し、少し小高い丘の上なので周囲の景色を見渡すのにも適しているので、何かが接近してきても見つけやすいし、隠れてやり過ごすのも行いやすいから選ばれたのだ。見張りを立てながら伊丹を中心に一同は集まり、彼が取り出した地図を参照に現在地を割り出して場所の特定に勤める。・・・・・・どうやら近くにコアンの森
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