暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
手打ちの唐揚げ
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しすぎない事。このタレがレシピの要だから落としすぎると味がボヤけてしまう。

 粉をまぶした鶏肉を油に滑り込ませる。適温に熱された油に入った鶏肉が、ジュワアアァァァ……と小気味良い音が店内に響く。途端に喧しかった議論がピタリと止まり、調理中のこちらを凝視している。そりゃそうだ、揚げ物の音と香りってのは堪らなく食欲を、そして『酒が飲みたい』という欲求を刺激する。大人しくなった3人はそれぞれに、飲み物を注文してこちらを待ち構える体勢に入った。

 一旦油から引き上げる。まずは低めの油温で中の鶏に火を通す。そして表面をカリッとさせる為に温度を上げて二度揚げ。カラカラカラカラ、と揚げ始めの時よりも乾いたような音が響く。これが聞こえ始めたらそろそろ完成だ。ゴクリ、と生唾を飲み込む音が聞こえた。待ちきれないようだな。

「早霜、キャベツの準備頼む。」

「了解です。」

 皿に千切りキャベツを乗せ、その上に軽くマヨネーズを絞る。これはウチの店の唐揚げの定番の盛り付けだ。唐揚げにマヨネーズを付けてもいいし、キャベツとマヨを混ぜて唐揚げに乗っけてもいい。後は油を切った唐揚げを盛り付ければ完成だ。その見た目は普通の唐揚げに比べて全体的に黄色い。

「ヘイお待ち、『若鶏の唐揚げ・タンドリーチキン風』だ。大体なぁ、ウチは唐揚げだけでも30以上レパートリーあるんだよ。塩だ醤油だ細けぇ事で悩んでねぇで、たまには違うの頼めば良いじゃねぇか。」

「いや、しかしだな……」

「議論の途中だから…」

 まだうだうだ言おうとしている那智と足柄。あんまり五月蝿いから唐揚げの山の上でレモンを握り潰すようにかける。

「まだ何か文句あんのか?あ゛ぁ?」

 俺が凄むと途端に青くなる二人。

「い、いや、無いっ!さぁ二人とも折角の唐揚げが冷めてしまう。早く食べよう!」

「そっ、そうね!折角の唐揚げだもの!熱い内に食べなくちゃ!」

 無理に笑いながら食べ進める足柄と那智。羽黒はマイペースに味わいながら食べているようだ。唐揚げを食べ終えると3人はそそくさと逃げ帰るように帰ってしまった。

「全く、俺にビビる位ならハナっから喧嘩するなってんだ。」

 しかし、折角仕込んでおいた唐揚げが無くなってしまった。改めて仕込み直しておこう。

《タンドリーチキン風唐揚げ》

・鶏モモ肉:2枚

・プレーンヨーグルト:1/2カップ

・おろしにんにく:少々

・カレー粉:小さじ2

・酒:小さじ1

・サラダ油:小さじ1

・塩:小さじ2/3

・胡椒:適量

・片栗粉、揚げ油:適量

 鶏肉は余分な脂肪を取り除き、5〜6等分にカット。片栗粉と揚げ油以外の材料を全て混ぜ、鶏肉を入れて揉み込んで5〜10分置
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