暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
早霜の一番疲れた日・2
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 やりづらい。物凄くやりづらい。金剛さんはただ飲みに来ただけだと言っているけれど、カクテルを作っている際の此方を観察してくる眼差しが鋭い。司令の愛するお店に相応しい人材なのか確認しに来たのではないだろうか?そんな気がする。

「ん?どうしたノ?」

「い、いえ何でも。」

 いけないいけない、考え事をすると手が止まってしまう。お客様がどんな目的で店を訪れようと関知しないのが鉄則。私が出来るのは美味しいお酒を提供する事だ。

 さっきの2杯は比較的軽い口当たりの食前酒向きな物だった。今度はスコッチの良さを楽しめる物にしよう。作り方もシンプルに、スコッチウィスキー3に対して、オレンジキュラソー1の割合でビルドし、軽くステア。

「お待たせしました、『アデル・スペシャル』です。」

「Thank You♪……あ、何かオツマミも貰えますカ?」

 カクテルに合わせるツマミ……更にはスコッチにも合うツマミ。まず前提として、全体的に甘口のカクテルは食事に合わせて飲む食中酒にはし難い。この店をはじめふーどめにゅーを提供するBarは少なくないが、お腹を満たすような居酒屋的な食べ方はあまりスマートではない。ともすれば、軽く摘まめる程度の物からチョイスするのが妥当。

 スコッチに合わせるとしたら……チーズやドライフルーツ、ナッツ、カナッペ辺りが定番か。それとも敢えて味の強いビーフジャーキーや牡蠣を合わせるか。難しい所だけれど……

「ンー♪やはりスコッチとチーズの組み合わせはマーベラスですネー!」

 私はチーズを選んだ。甘口のカクテルにもスコッチにも、程よい塩気と強い旨味のチーズは相性がいい。




「ハヤシモぉ、もう少しスコッチが楽しめるカクテルもアリマスか?」

「勿論、おまかせ下さい。」

 スコッチを楽しむには、スコッチの旨味を引き出す工夫が必要です。その為に使うのはイギリス生まれのリキュール・ジンジャーワイン。生姜の根の部分を粉砕・乾燥させて白ワインに漬け込み、その辛味と風味を移した日本の梅酒のような作り方のリキュール。これでスコッチをビルドする。割合はスコッチが2、ジンジャーワインが1。アデル・スペシャル同様軽くステアしたら完成。

「『ウィスキー・マック』です。」

「このジンジャーの辛味がスコッチにマッチしますネー。流石はイギリスの定番カクテルデース。」

 オールドファッションドグラスをチビチビと傾けながら、舌の上で踊る生姜の辛味を楽しんでいる、そんな飲み方だ。

「ンー……そろそろラストにしましょうか。ハヤシモ、darlingをイメージ出来るような、そんな一杯をお願いシマース!」

 司令をイメージさせる一杯。男性的で尚且つ、包み込むような優しさを感じる一杯。

「ご
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