早霜の一番疲れた日・2
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注文のスコッチがベースでは無くなりますが、宜しいですか?」
「of course.お任せしますヨー。」
用意したのはバーボン・ウィスキー。アメリカ生まれのウィスキーだけれど、その源流はアイルランド系移民が発祥だと言われています。シェイカーにそれを40ml入れ、そこにレモンジュースを20ml。シュガーシロップを1tspとアンゴスチュラ・ビターズを2dash加えたらシェイク。カクテルグラスに注いだら出来上がり。
「『コモドール』です。」
「フム……では、いただきマス。」
金剛さんは今度は、ゆっくりと味わうように少しだけ口に含む。舌の上で転がして、そして飲み込む。私も思わず緊張で生唾を飲み込んだ。
「バーボンの辛味と強さ、そこにビターズの苦味。レモンの爽やかさとほんのり来る甘味……。とても美味しいデス。けどハヤシモ、何故このカクテルをチョイスしましたカ?」
そう質問してくる金剛さんの目付きは鋭い。まるで戦闘中かのようだ。
「え、えぇと。コモドールは英語で提督を示す言葉だと窺いましたので……」
何故こんな質問をしてくるのだろう。
「That's right.確かにcommodoreは提督を表す言葉です。……けどねハヤシモ、階級を表す時には准将を表す言葉でもあるのデス。」
「あっ……」
「そう、darlingの階級は大将デス。そんなケチを付ける人ではないですけど、他の提督がそうとは限りませんネー。」
確かにそうだ。自分の階級に誇りを持った軍人は多い。もしこれを知らずに提供していたら、叱責する人もあったかもしれない。意気消沈してしまった私の頭を、金剛さんは再び撫でてくれました。
「研究熱心なのは良いことネ。『無知は恥では無い、知ろうとしない事が恥だ』。darlingの言葉デス。もっと色んな事を学ぶと良いデスよ、ではsee youハヤシモ。」
そう言って金剛さんは颯爽と、にこやかに帰って行きました。何だか力が抜けた私は、その場にへたりこんでしまいましたが。
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