4/11 堂島家へ
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だからな。
菜々子ちゃんの顔が見る見るうちに紅くなると、叔父さんの腰に顔を押し付け顔を隠してしまった。
「ははっ。こいつ、本当に照れてやがる」
叔父さんがまた茶化すものだから、菜々子ちゃんは再び叔父さんを叩いた。
「さぁて、じゃ行くか。車、こっちだ」
叔父さんは踵を返すと、菜々子ちゃんを伴って歩いて行く。
「…ねえ」
俺も後に続こうとした時、急に声を掛けられた。
振り向くとそこには、紅のチョーカーに黒のネクタイ、チェックのミニスカートに白と黒のハイニーソックスを穿いた可愛い女の子だった。
田舎にはそぐわない雰囲気を持った子だな。
だが、可愛い!って、マリーか!
出たな、ツンデレ!
「落ちたよ、これ」
彼女が差し出してくれたのは、念のために持って来ていた堂島家の住所が書かれたメモだった。
落ちてたか。
「ありがとう」
「別にいい。拾っただけだから」
それ以上は何も言わずに、少女は立ち去ってしまった。
また、そのうち会うでしょ。
「おーい、どうした」
彼女と話していて時間を掛け過ぎたようだ。
叔父さんに呼ばれ、俺は急ぎ足で車へと向かった。
「菜々子、シートベルトは締めたか?」
「うん」
「よし。じゃあ行くぞ」
叔父さんはアクセルを踏んで車を発進させると、家に向けて出発した。
叔父さんの家までの道中、俺は窓から見える街の風景を眺める。
車の通りも多くなく、人も多いわけではない。
「…東京とは大違いだな」
「お前の住んでた都会と違って、ここは静かだろ?お前にしたら、調子狂うんじゃないか?」
「そうでもないですよ。東京は騒がしいくらいです。こういう街の方が、俺には合っているかもしれません」
「ははっ、そうか」
紛れもない、俺の本心。俺は騒がしいのは嫌いだから、静かな方が好きだ。
それに、人が多いところも嫌いだ。
「お父さん、トイレ行きたい」
「何?…家まで我慢できないか?」
「うん」
「叔父さん、あそこにガソリンスタンドがあるけど」
「そうだな。ガソリンも半分を切ってたし、丁度良いか」
叔父さんはガソリンスタンドへと入ると、入れ違いで1台の車が出るところだった。
車には、【いなば急便】と書かれていた。
「らっしゃーせー」
車を停めると、すぐに店員が威勢のいい声を上げながら近付いていくる。
「トイレ、1人で行けるか?」
「うん」
叔父さんの問いに菜々子ちゃんは頷くと、2人は同時に車から降りた。
その話を聞いていたのか、店員がトイレの場所は左側だと教える。
箸を持たない方だというその言葉に、菜々子ちゃんはちょっと怒った口調で返すと、トイレ
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