29話「犬さんと、追い詰められたゴブリン達」
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がナポルの所へと近づくだけで反応して走ってくるから、戦争が中々終わらないのだ。
困った剣狂いゴブリンである。
ゴブリン労働者3万匹が強制労働させられて困っているのは、きっと全部コイツが悪い。
冬が近いから寒くて辛いんだぞ。三歳児ボディの貧弱さを舐めるな。
小さくて体力がないから、頻繁に料理を食ってエネルギー補給しないと死んじゃうんだぞ。
『犬さん、責任転嫁しちゃ駄目ぇー!』
「くくくっ……!今宵のブラックダガーたんの分厚い刃渡りがそそるっ……!」
当のブラックイーターは、黒く染め上げた刀剣をペロペロ舐めていた。
剣術は技能スキルのおかげで凄いようだが――手入れの仕方は完全に間違っている。
錆びるぞ……そんなに刀剣を唾液で濡らしたら……コレクターの癖に剣を愛しすぎて、耐久力を低下させているようだ。
まぁ、剣なんて実戦で使えば消耗品だし、コレクションを浪費する事に快感を抱いているのかもしれない。
「うぉっほん!うぉっほん!」
ナポルが咳払いをしても、ブラックイーターは反応しない。
血走った目で、剣をペロペロ舐めて、汚い布で拭いている。
「話を聞かんかぁー!」
我慢の限界にすぐ達したナポルは、ガラス瓶を投げた。
ブラックイーターの索敵スキルが発動し、すぐに攻撃の構えを取る。
一瞬で剣が光のごとく閃いた。ガラス瓶が8分割されて、中に入っていた酒が真下へと落ちる。
……無意識にやったとはいえ、なんて無駄が多いんだ……。
刀身でガラス瓶を叩けばいいのに……いや、斬るのが好きなゴブリンだったな、こいつ……。
性癖が攻撃にまで現れているぞ……爆弾を投げつけられたら死ぬタイプだな……。
「ん?ナポル、俺に何かようか……?」
「山に慣れた兵士達を率いて、獣人の村を攻めて来い!
道案内と食料を兼ねた家畜を200人ほど引き連れていいぞ!」
「今回の報酬は……?」
「獣人の村には、色んな名刀があるそうだ。
鎧を切っても刃こぼれ一つしないと噂で聞いたな」
こらこら、嘘言うな。
僕の手にかかれば、名刀なら幾らでも量産できるが、村にあるのは量産品ばっかりだぞ。
しかし、そんな事を知らないブラックイーターはすんなりと理解して頷いた。目を好奇心で輝かせている。
「なるほど、コレクションがまた増えるな……」
「さぁ!行って来い!
獣人どもは数が少ないが、その分だけ強者が多いと聞く!
貴様が満足できる戦いが待っているはずだ!歯向かう奴は全て殺せ!」
これ、ブラッドイーターが作戦を終えて戻ってきたら……地面に8分割されているガラス瓶のように、ナポルも8分割されるんじゃないだろうか?
名刀を用意してないと、絶対、怒るぞ……。存在しないものを報酬にするとか酷すぎ
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