26話「犬さんと、ジューシーな馬刺し」
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ブログバージョン
http://suliruku.blogspot.jp/2016/11/26.html
僕たちは安全な場所まで逃げた。そして、そこでモーニャン率いる戦略輸送部隊『食事係』と合流し.、川原で――
「この焼き魚うめぇー」
「塩が薄いけど、焼き加減が丁度で美味いー」
魚を串に刺して、火で炙り、塩を少量かけ、皆で食べていた。
脂肪たっぷりで肥え太っている川魚ばっかりでおいひい。
地球辺りだと、養殖場でしか入手できないようなサイズの魚がゴロゴロしている。
なぜか大量にある馬肉も鍋に入れて、皆が素手で食べ――
「おいこらぁー!?
素手で食べると鍋が汚くなるだろぉー!?
木を切断して、箸を作って配るから、箸に慣れろぉー!」
僕の叫びが、失敗の酸っぱい味を癒してくれる楽しい楽しい食事タイムに響き渡った。
『犬さん!それ以前に、煙の位置で場所がばれちゃうでしょー!?』
『犬さんー!敵軍のナポルがこっちの方角見てますおー!』
いや、それならそれで良いだろ。
こっちはお前らのおかげで、敵軍の兵力配置が分かるんだし。
森の地形は数の暴力を殺してくれて最高なんだぞ?
むしろ、積極的にこっちを追撃してきて欲しい。
崖しかないような山道に誘導すれば、一気に纏めて殺せるし。
本当……山地でのサバイバル戦は僕たち以外には地獄だなぁ……魚うんめぇー。
「ワァン様〜、この生肉が凄く美味しいよー」
黄金の大きな尻尾をゆらゆら動かして、素晴らしき狐娘モーニャンがやってきた。
彼女の白い手には、解体されて新鮮そうな馬肉があり、先ほどの発言を考慮すると――
「こらぁー!馬肉を生で食べるなぁー!
寄生虫が居たらどうするんだぁー!モーニャン!」
「で、でも、殺したばかりで新鮮だし……。
生肉を食べると元気になるんだよ?
栄養たっぷりでお姉ちゃん、体の底から元気が出ちゃうの」
生肉でビタミン摂取か!
いや、待てよ?この馬肉はどこから入手したんだ?
『犬さん、お馬さんに矢を突き刺しまくっていた事を忘れちゃダメですぞ』
『馬さんが可哀想だったお……』
「モーニャン、この馬肉……ゴブリン達が使っていた軍馬?」
「うん美味しいよー、私、こんなに美味しい生肉は初めてかも?」
「え……本当に生肉が美味しいのか?」
僕が疑問の声を上げると、モーニャンが馬肉を差し出してきた。
血は川で洗ったのか付いていない。ピンク色の筋が美しい肉である。
「塩をちょっとかけると良い感じなんだよー、ワァン様も食べてみない?
味はお姉ちゃんが保証するよ?えい!」
可愛らしい声を上げたモーニャン。彼女は問答無用で、生肉を僕の口の中へと押し付けてきた。
狐娘の好意を拒絶す
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