25話「犬さんと、剣狂いゴブリン」
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勲章をジャラジャラ付け、顎が極端に大きいゴブリンを見かけた。
頭に、大きな黒い帽子を被っていて、一人だけ目立っている。
周りのゴブリンに命令しまくって偉そうだ。
「進めー!獣人の村の先には、人間の集落がたくさんあるぞー!
略奪すれば食べ放題だぁー!
もっと早く進めー!モタモタしていると冬がくるぞー!
獣人の村に一番乗りした部隊に、褒美を取らせるっー!」
『そいつがナポル少将ですぞ!犬さん!』
邪神の声を聞き、僕は化合弓のケーブルに矢を番え、思い切りケーブルを引っ張った。
息を吸い、体調を落ち着けて、ゆっくりと狙いを定める。
出来れば一撃で仕留めたい。
風の動きを読み、標的の未来位置を予測し、僕は矢から手を離した。
ケーブルが矢にエネルギーを伝え、一撃必殺の矢を生み出す。
無数の木々の隙間を越え、矢はナポルの頭に吸い込まれるように――当たる前に、一匹のゴブリンが剣で矢を切断して迎撃していた。
アイエェェェェェェ!?なにこれぇぇぇ?
障害物が大量にあるせいで、向こうから、矢が来るなんて分からないはずなのに迎撃された!?
チートだぁー!チーターだぁー!ありえないぃぃぃ!
『非常識なゴブリンさんだぁー!』
『まるで犬さんみたいな動きだお!?』
『動揺している場合じゃない。
犬さん、連続攻撃だぁー!』
僕は命中精度を犠牲に、連続して400m先に矢を5本飛ばした。
だが、それらを尽く、黒いマントを羽織ったゴブリンが、剣の刀身で弾いて防いでくる。
ありえない。人間の達人でも、こんなありえない事ができるはずがない。
矢を盾で防ぐ輩は、今までたくさん見てきたが……剣で防ぐアホは初めて見た。
どんな訓練を積めば、あんな事ができるのか分からない。そう、まるで――僕の持つチート能力を持っているかのようだ。
『天然のスキルスロットの気配がするお。数は2個』
『久しぶりにスキルスロットを強奪できるチャンスですぞ!』
僕と似たような奴がいるんかーい!
駄目だ!これ!
成人まで成長して、剣の技能レベル99に明らかに到達している化物とか相手してられるか!撤退だ!
追いかけて来られたら、獣人達がバサバサ斬られる!こっちはまだ……三歳児なんだぞ!
矢を迎撃できた事から、危険を察知できるスキル持ちだし!
「皆!逃――」
『こらこらwwwww獣人の士気が崩壊しちゃうだろwwww』
『指揮官が言っちゃ駄目なセリフだおー!』
「皆ぁー!モーニャンの暖かい飯を食べに帰るぞー!走れー!
美味しい料理が待っているぞー!
僕に付いてこれた奴はご飯が多めになる!」
「「やったー!飯だぁー!」」
こうして、僕たちは道なき道を通り、モーニャン達がご飯を作っている場所へと帰った……。
幸い、
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