虚像-フェイク-part2/偽りの巨人
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もかかわらず姿を未だに見せていないのは、どこかに隠れているからだ。
ギルやグルたちにとっても思わしくない状況だが、姿を隠している今の状況を利用してくれるはず。
「まだ余裕を隠しているようだな、空賊」
まだ平静さを保っているガル船長を見て、クロムウェルは一瞬面白くなさそうな顔を浮かべる。
「もしや、余が貴様の隠し玉ともいえないネズミに、気づかないと?」
「なに…?」
「そこの森の中に、他のクルー共が隠れていて、この娘を奪還しようと狙っているのだろう?」
「ッ!」
ガル船長が今の悲鳴を聞いて、初めて取り乱した様子を見せた。
「見事な諦めの悪さだな。空賊。だがやはり無意味だ。たとえこの娘を奪還できても、余の虚無を利用すれば」
当然虚無など嘘だ。だが、今のクロムウェルはそうでなくても、こちらからすれはあまりにも脅威であることにかわりない。
「シュウ…ヤマワラワ」
テファは、クロムウェルに捕まれている手を振りほどきたくても、相手の力が強すぎて振りほどくことができず、ただ敵となってしまったシュウとヤマワラワを哀しげに見上げるだけだった。
どうして、彼はこんなことをしたのだ?理由はいったいなんなのだ?
『貴様と俺は、所詮血の匂いでまみれた者同士』
いつぞやの、闇の巨人ダークメフィストに変身するメンヌヴィルが言った言葉が蘇る。奴はシュウが、自分と同じ血に飢えた戦士だと語っていた。じゃあ、その本性が露わになったと?それまでの彼が、自分や子供たちに見せたかすかな優しさは…嘘だったのか?
その時だった。
「騙されるな!テファ!!」
森の中から叫び声がテファたちの耳に聞こえてきた。それと同時に、テファを捕まえているクロムウェルの手に、緑色の閃光が突き刺さる。
「ぐおおお!!?」
腕に走る激痛から、クロムウェルはテファを離してしまう。
「っ今だ!」
さっきのネクサスの攻撃による爆風のダメージを意に返さず、マチルダはすぐさまテファのもとに駆けつけ、彼女を奪還した。
「ぬ、しまっ……」
目的だったテファを奪い返され、クロムウェルは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。
「大丈夫か、テファ!?」
「あなたは……サイト!?なんで……」
今の閃光を放ったのは、ウルトラガンを持ったサイトだった。思わぬ援軍に、テファもマチルダも驚いた。
「ええい、逃がすか!」
「そこまでだ!」
クロムウェルはもう一度テファを捕まえようと、彼女に向かって行こうとしたが、サイトの後に続いてきたムサシもラウンダーショットを向けて現れたために阻まれた。
「もはやあなたに約束を守る気概がないのなら……」
同じタイミングで、ヘンリーもついに意を決してクロムウェルに杖を向けていた。テファとの約束を簡単に破り、彼らを傷つけた以上、臣下として私心を殺して
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