虚像-フェイク-part2/偽りの巨人
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になった。
「これで、皆を見逃してくれるんですよね?」
「あぁ、彼のことも解放してあげよう」
クロムウェルは指を鳴らす。すると、十字架に貼り付けられていたネクサスの呪縛が解け、ネクサスは地上へ落ちて倒れる。
マチルダたちは意外な事態に衝撃を受けた。まさか本当に、人質を解放してくるとは思いもしなかった。この男は確かに卑劣な輩だが、それでも約束を守る男なのだろうか?
「シュウ!」
テファはすぐに駆け寄ろうとするが、ガシッとクロムウェルがその肩を掴んで引きとめた。
「あなたはこちらに身を置くと決めたはずだ」
「……」
そうだ。自分はもう、村の皆と共に過ごすことなどできない。これ以上みんなの足を引っ張り続けるくらいなら…テファは大人しくクロムウェルに従った。これで、ヤマワラワもシュウも、自由になれるはずだ。
しかし、ネクサスを解放したその時点で、誰もが油断していた。
この男…オリバー・クロムウェルが、亡き本物もこの擬態した個体も、目的のためならばどれほど卑劣な手を下すこともいとわないことを、忘れていた。
「これで他の者たちに用はない」
「え…!?」
すると、ヤマワラワの傍らで倒れていた巨人…ウルトラマンネクサスが目に光を灯し、立ち上がったのだ。
「シュウ…」
やっと立ち上がってくれたのか。待ちくたびれた思いと、彼が戻ってきたことを喜ぶ思いが高まる。
「シュウ兄、テファお姉ちゃんを助けて!」
村の子供たちの一人であるエマがネクサスに叫んだ。彼ならきっとこの状況をなんとかしてくれるはずだ。悪い奴に捕まったテファも、ヘンリーも、空賊のみんなも救ってくれると信じて疑わない。
しかし、その希望は無惨にも裏切られた。
立ち上がったネクサス。次の瞬間…
「デュ!」
「グオオオオオオオオオ!!!」
次の瞬間だった。ヤマワラワが赤く染まった邪悪な眼光を放ちながら雄叫びを上げ、地面に向けてその豪腕を突っ込むと、土の中から巨大な岩を掘り起こし、それを投げつけてきた。
そしてさらに、ネクサスの手から放たれた一発の光弾もまた……
クロムウェルが見逃すと約束したはずの…空賊団の船に向けて放たれた。
岩の礫と光弾はまっすぐ森の中に隠れていてアバンギャルド号に飛んでいき、その場所に落下と同時に、爆発した。
「ッ!」
ネクサスとヤマワラワの突如の暴挙に、テファたちは何が起こったのか、一瞬理解できなかった。
「…シュウ…どう…して…!?」
なんでヤマワラワに続きシュウが…ウルトラマンまでが自分を助けようとしてくれた空族たちの船を狙った…?頭の中が、真っ白になり始める。
なぜシュウが、ヤマワラワと共に、自分たちに向かって攻撃するんだ?
なぜ…どうして!!?
「兄ちゃん…なんで…!?」
子供たち
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