虚像-フェイク-part2/偽りの巨人
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」
「ごめんなさい…姉さん。やっぱり、これ以上私のせいで誰かが傷つくのは見たくないから…」
驚愕するマチルダに一言詫びを入れ、彼女はクロムウェルの方へ歩き出す。
「ヘンリー君、君には空賊どもの邪魔が入らないように見ていたまえ。邪魔が入ると面倒だからね」
「…」
ヘンリーは不本意と不満を覚えたが、逆らうことができず、杖を引き抜いてマチルダや空賊たちに向けた。
「駄目だテファ!行くな!」
「動くな!下手に動けば…君たちもただでは済まされないぞ」
「ぐ…ヘンリー…!」
マチルダが惹きとめようと声を上げて惹きとめようとするが、命令どおりヘンリーは杖を向けて警告を入れた。テファや村の子供たちの安全を最優先に考えるマチルダにとって、ヘンリーの選択はその余地がなかったとしても宣戦布告のように受け取れた。
「若いの…結果的に主を連れ出してしまったのがわしらとはいえ、それでよいのか?」
ガル船長はヘンリーに、険しい表情と視線を向ける。
「おい、そこの君!もしやティファニア嬢をそのような無粋な輩に差し出すというのか!」
ギーシュも深い事情までは踏み込めていなかったが、少なくとも美しい女性が聞きに陥っていることをわからないほどKYではなかった。
「……」
ヘンリーとて、貴族の…紳士としてのこだわりがある。一人の少女に心身ともに痛みを与えるような選択などとるべきではない。だが…テファが究極の選択肢を迫られているのと同じように、立場上主君に当たるクロムウェルに逆らうこともまた許されない状況だった。もし逆らえば、テファが守りたいと願っているあの巨人が、怪獣の手にかかってしまうことになる。真の平和を心の奥底で願っていたから、婚約を破棄してでも国を守ろうとしたヘンリーにとって、ウルトラマンは見捨てることができなかったのだ。
「ったく…シュウ!あんた…そこで何を寝そべってるんだい!早く起きてテファを助けなよ!」
十字架に張り付いたまま動かないままのウルトラマンネクサスに、マチルダは八つ当たり気味に怒鳴り散らす。藁にも縋る思いからの願いでもあったが、それは届かなかった。
「いいの、姉さん。もう…いいから」
テファはマチルダの方を振り返り、悲しげに笑みを見せた。同じだ…しばらく空賊たちの援助を得ながらこの森で暮らすことになったあの時も、彼女はシュウから足手まといといわれたショックであのような悲しそうな表情を浮かべていた。その表情に言葉を失うマチルダ。
気がつけば、テファはクロムウェルとヘンリーの前に来ていた。
「…ふふ、よく来てくれた。現代の虚無の担い手ティファニア嬢。我々レコンキスタは貴殿を歓迎いたそう」
クロムウェルは勝ち誇った笑みを浮かべ、ティファニアへ手を伸ばす。薄汚い手で愛する義妹に触れようとするクロムウェルに、マチルダは腸が煮えくり返りそう
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