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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
虚像-フェイク-part2/偽りの巨人
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いるように見えた。
「ではティファニア嬢、我々の元に来ていただきたい。あなたの虚無の力を、我々レコンキスタのために使ってほしいのだ。そうすれば、彼らを解放してやってもいい。
安心したまえ、あの巨人は力尽きかけているが、まだ生きているぞ」
テファたちはクロムウェルの要求に喉をつまらせた。なんて卑劣な取引を持ちかけてきたのだ。こいつが神聖皇帝?笑わせるな、こいつはもはや只の外道だ!
「閣下、いくらなんでも破廉恥極まりない!こんなことを閣下自らが下したとなれば、悪名を後世に残すだけです!」
ヘンリーは臣下として警告を入れるが、クロムウェルは澄まし顔だった。
「皇帝である余に逆らうと?ずいぶん偉くなったものだな。たかが末端の兵ごときが」
本性を露にした自分の主君に対し、ヘンリーは心の奥底から灼熱するような感覚を覚えた。杖を向けようとも考えたが、クロムウェルの「いいのか?」の一言と、奴が視線をテファに向けているのを見て、く…と歯軋りする。自分がもしクロムウェルに逆らったりした場合、テファが要求を呑まなかった場合と同じ結果が訪れる。どうやらテファはあの怪獣に対しても思い入れがあり、あのウルトラマンとも関わりがあるようだ。尚更自分の判断で行動を起こせなくなった。
「さあ、娘よ。どうするのだ?君がもし条件を飲まなかったら…あの巨人とこの場にいる空賊…そして、君たちが後生大事に保護している子供たちも…ただの肉の塊となるやもしれんぞ?」
もはやクロムウェルは神聖皇帝としての姿を見せていない。浮かべた笑みは、下種な悪党のそれに変貌していた。
「テファ、聞くんじゃないよ!これは絶対罠だ!」
マチルダはテファに警告する。こんな手口を考える奴が罠を張らないはずがない。が、彼女は自らの視界に映る二人から目を離せなかった。あの二人が危機に陥っている。目に映る状況が、彼女の頭から平静さを奪い始めていた。
「お姉ちゃん!!」「テファ姉ちゃん、マチルダ姉ちゃん!」
すると、まだ戻ってこないテファたちを心配して、村の子供たちが集まってきてしまう。
「みんな…大人しくしろって言ってただろ!」
「ごめん、マチルダ姉ちゃん…でも、誰も戻らないから…」
集まってきた子供たちと、それを叱るマチルダを、テファは見て憂い顔を浮かべた。
きっとまた、自分のせいで、またこの場にいる皆が傷ついてしまう。
(これじゃ…シュウに足手まといと言われても仕方がない…よね)
マチルダも、ヤマワラワも、村の子供たちも、空賊の人達も、ヘンリーも…
…そしてシュウさえも。
ハーフエルフだから、虚無の担い手だから…狙われてきた。そして自分を守ってくれる人達を巻き込み続けてきた。自分に対して一種の失望感を抱くテファは、クロムウェルの前に一歩踏み出した。
「……わかり、ました…」
「テファ!?
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