虚像-フェイク-part2/偽りの巨人
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
空賊たちだ。たぶん、テファたちはあの人達の力を借りてアルビオンを脱出してきたんだ」
『じゃあ、アルビオンとラ・ロシェール間の上空で起きた爆発からの墜落物ってのは、あの空賊たちの船のことってわけか』
ゼロはこれまでの要素を組合わせ、たどり着いた結論を口にした。
「あの人達には世話になったんだ。何とか助けないと!」
「待って、サイト君。気持ちはわかるが、僕らもまた彼らと同じように人質を取られているようなものだ」
当時の負い目と恩から、すぐにでもテファたちも助けたいと思っていたサイトだが、ムサシが落ち着くように言う。
そうだ…今、テファたちは銀色のウルトラマンを…シュウを人質に取られている。彼女たちだけじゃなく、人質のシュウも助けなければならない。
「シュウ…!」
操られたウェールズとメフィストの手からアンリエッタを取り戻したラグドリアン湖の事件で別れて以来、ずっと連絡が取れないままだったシュウ。敵に捕まっていたから、今まで連絡が取れなかったのか?
「シュウ…じゃあ、あれが…?」
ムサシが、サイトの口からシュウの名前を口にしながら十字架に張り付けられている巨人を見ているのを見て、もしやと思って問うと、サイトは頷いた。
「はい。前にムサシさんに話してた…俺以外の…もう一人のウルトラマンです」
サイトは視線をシュウに向ける。それにしてもまさか、あいつが捕まっていたなんて。同じウルトラマンなだけに、サイトはすぐには信じられなかった。
ちなみにあの巨人の正体を知らないままなのはマリコリヌとレイナールだけだ。しかし、十字架に貼り付けられている彼の傍らにいる怪獣ヤマワラワが、テファのかつての友人だったことを知るものはいない。
ムサシはネクサスを凝視する彼を見て、おそらく彼が友を助けたいという衝動を抱きつつあるのを察した。
「サイト君、僕も気持ちは同じだ。見覚えのある怪獣も確認した」
「…え?見覚えのって…」
ムサシの口から見覚えがあると聞いて、一度我に返ったサイトは目を見開く。今、十字架のネクサスと共に出現したあの毛むくじゃらの猿に似た怪獣のことを言っているのか。
「あれはヤマワラワ、僕の世界で妖怪伝説の元になった怪獣だ」
「よ、妖怪…?」
思わぬ単語が出てきてサイトは困惑した。いや、一応自分の世界の地球にも妖怪伝説となった怪獣の存在はあったが…どうやらどの世界でも異形の存在である怪獣は妖怪と同列に思われることは珍しくないようだ。
「けど、様子がおかしいな。僕が知るヤマワラワも狂暴になることがあったけど、それは友達を守るためかとかで、決して無意味に暴れたりするような怪獣じゃない」
少し見てみよう。ムサシは腰に下げていた銃器のようなものを取りだし、蓋を開いて小型モニターを展開した。
「ムサシさん、それは?」
「別に迂闊に撃つ訳じゃ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ