61.第十地獄・灰燼帰界 後編
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札』の準備を止めてはいなかった。
黒竜の頭部周辺に集束する魔力が、まるで地上の太陽のような煌きを放ってに可視化しつつある。
もう、オーネストにもアズにも打つ手が残っていない。
ユグーにはこれから訪れるである超広域破壊攻撃を防ぐ手立てはないだろう。
異常に勘づいたリージュが剣を片手に走り出しているが、もう間に合わない。
間に合ったところで、恐らく総合的なエネルギーの差を埋められない。
撃たれたら終わる。
下手をすればダンジョンを数層犠牲にする火力で、恐らく原爆の爆心地付近にいた人間のように『影しか残らない』。
(………結局、こうなる訳か)
オーネスト・ライアーという仮面を剥いでもがき、借りたくもなかった力を酷使してまで進んだ無様な結末。つくづく俺は、運命とやらに逆らう力が足りないらしい。
(しかし、それでいいのかもしれない。勝てない程の相手と戦って勝てず、死ぬ。この世にありふれた、自然な死だ。アズの面倒を見ていたガキも、メリージアも、あれも、これも……まぁ、物好き連中が何とかするだろ)
この世に永遠はない。黒竜もまた必ず終わる日が来る。
本当に今出すことのできる全てを出し切った果ての諦観に、俺は身を委ねた。
「どこを斬ればいい?」
《右目ッ!あのオーネストとかいうのが魔石二つと翼斬ったから、その反動で今だけは反応が鈍ってるはずだから!!》
《オッタル、命令よ。オーネストを絶対に殺させては駄目。余裕があったら貴方が黒竜のそっ首を切り落としなさい。あと黒コートは無視しなさいよ》
「……アズは私が回収するから、ふたりはオーネストをお願い」
『リョーカイ!!オーネストはセキニンもってアタシたちがキュウシュツするよ〜!!』
『あのお二方をあそこまで追い詰めるとは憎き奴よ……されど、これ以上の狼藉は我らが許さぬッ!!』
「………………」
目と耳の錯覚だろうか。上からなんか降ってくる。大剣を抱えた褐色肌の猪人と、見覚えのある金髪金目の少女。ついでになんか、2対の人形が抱き合いながら動かない翼でグライダーのように滑空している。
落下しながら目を擦り、もう一度よく見てみる。
急速に落下スピードを加速させるオラリオ最強の冒険者――『猛者』オッタルと、目が合った。何故こんな愉快な面子で登場し、何故落下していて、そもそもなぜここに来ているのか……流石のオーネストにも、まったく意味が分からなかった。
「………………何してんだお前」
「フレイヤ様の命令以外で俺が動く訳がなかろう。後始末はつけてや
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