61.第十地獄・灰燼帰界 後編
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が拮抗する高熱の腕に掴まれたそれは、しかし燃え尽きることはない。何故ならこのトランプはアズが金持ちの道楽と言わんばかりの金を費やした金属製のトランプだからだ。
そうだ、このトランプはあの大馬鹿が馬鹿馬鹿しくも超希少鉱物である『イロカネ』をベースに作成した合金で出来てる。そしてイロカネは、本人はそこまで考えての作成ではなかったろうが、魔力を通す媒体として最高峰の性質を持っている。
加工が難しすぎる上にもっと別の安価で安定した効果を発揮する宝石や水晶に隠れて日の目を見ることは少ないが、イロカネは間違いなく最高の魔力伝導物質だ。魔剣の原材料にでも使ったらさぞ派手な代物が出来上がるだろう。
このカードで何をするかなど考えてはいなかったろう。ほぼ間違いなく「何かに使えるかもしれないし、取りあえずなんか送っとけ」とかいい加減なことを考えて無理やり引っ掛けたに違いない。要するに使い方はこちらに丸投げという訳だ。
(何をする。何に使える。何が有効だ。時間がない、考えろッ!!)
魔石の位置は鎖が教えてくれる。照準も鎖と呪帯が強引に導いてくれるだろう。
第一条件、体がいう事を聞かない以上、武術に準ずるものは却下。魔法のみの攻撃となる。
第二条件、魔法を使用する際は一撃で黒竜の魔石の位置を破壊する必要がある。
第三条件、現在の装備と組み合わせて黒竜の魔石を貫ける威力に達さなければならない。
(黒竜に届く一撃を魔法で使うならほぼ雷一択。だが俺が現時点で発生させられる雷で黒竜の腹部を貫通させる威力を出せる可能性は低い。かといってイロカネのトランプをどう使う?魔力導物質であることを利用して威力を増幅させることは出来るが――雷、増幅、剣……)
握ったトランプを指でずらす。規則的にずらりと並んだ54枚のカードを見て、剣を見る。剣を雷の速度で発射すれば、その貫通力は当然雷以上になるだろう。かといって剣をそこまで加速させる方法など、あるだろうか。
電気の速度の弾丸――電磁投射砲。確か、アメリカ軍が電磁投射砲の実用化に乗り出したなんてニュースをはるか昔に見た気がする。
(レール……)
イロカネのカードを並べて、簡易的なレールを作る。
(弾体……)
剣を磁場で操り、カードごと浮遊させる。
(発射に必要な膨大なエネルギー……)
魔力を代用すれば、自分自身が大容量コンデンサのようなものだ。
(発生するプラズマと、発射の反動――)
これまで死ねなかった体だ。今更何を気にする必要がある。
レールガンの基本原理くらいなら知っている。あとは細かい物理法則を魔法で発生させた現象で埋め合わせる。魔導式電磁投射砲。なんともまぁ、アズ辺りが好きそうな技ではないか。
まっ
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