61.第十地獄・灰燼帰界 後編
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に吠え、剣を凄まじい膂力で更に黒竜の背中に叩き込んだ。『雷刃』の貫通力によって既に黒鱗を貫通していた剣がギチギチと軋むような音を立て、黒竜の肉を強引に抉ってゆく。
強引に振り落として来る可能性かとも思ったが、いまだにオーネストの体に紙一重で当たらない大量の弾丸が降り注いでいる為に下手に体勢を変えられないのだろう。オーネストの一撃でバリア代わりの翼には大穴が開き、もう一対の翼は構造上背中を覆えない。
尤も、それを抜きにしても黒竜の抵抗は終わらないが。
『グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!?!?』
「く、そ、がぁ………ッ!!」
げに恐るべきは黒竜の肉体の頑強さ。オーネストの繰り出した、例え相手が完全装備のオッタルやガレスでも当てれば一撃で両断する破壊力の刃の直撃を受けて、それでも剣は黒竜の背中に刃の中ほどまで突き刺さった時点で停止していた。刃の刺さった感触で背中の魔石の位置はおおよその見当がついたが、魔石の周囲を覆う骨と筋肉の塊が信じがたい程に硬い。
更に、オーネストを焼き殺さんと黒竜が傷ついた背中から燃える血を噴出し、オーネストの全身が焼かれる。咄嗟にダメージを軽減するために魔法を用いて全身を炎で覆ったオーネストだったが、黒竜の血の炎は纏った火さえ焼き尽くして肉体を蝕んでいく。
このまま時間をかければ勝ち目はない。ならば多少のリスクを抱えてでもここで確実に相手の力を削ぐしかない。
「だったら……!」
複雑に入り組んだ筋組織の鎧に覆われた部分を貫くには、一点に集中した力をもう一度叩き込むしかない。『贖罪十字』による重量増加がまだ自分に圧し掛かっているうちに剣の柄を無理矢理黒竜の肉に捻じ込み、強引に柄を重力と垂直にする。
剣の刃は未だに強度を保っているが、所詮強化度合いは急造品の域を出ない。長時間灼熱の血に触れていれば遅かれ早かれ刃は砕ける。だから、砕けぬうちに更に叩き込む。
「腕一本くれてやるッ!!もう一度無様に這いつくばりやがれぇええええええええッ!!!」
高く振り上げた右拳にあらん限りの筋力、気力、膂力を凝縮させ、筋肉が極限まで弓引く。
次の一瞬、次の一撃に殺意と戦意と覚悟の塊を押し込めて――己の腕を粉砕する威力でオーネストの拳が剣の柄に叩き込まれた。
ダガァンッッ!!!と、大気が歪むほどの破壊力が一挙に剣に注がれ、逃げ場を無くした莫大な破壊の一撃が黒竜の背中を貫いた。
『ガアアア、グギ、ア……ッッ!!』
「ぐ、う、おぉぉぉおおおおおおおおおおお……ッ!!!」
それまでに黒竜に命中したどれよりも体の芯に響く、一種の勁にも似た衝撃が黒竜を揺るがし、体内でバギャン、と鈍い破砕音が響く。それを聞いたオーネストは、叩き
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