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Blue Rose
第三十五話 欧州の美その二

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「漆だから」
「ああ、漆はそうだよな」
「そう、かぶれるでしょ」
「だから体質が駄目だとか」
「漆塗りは出来ないわよね」
「そうだよな」
「身体も慣れるっていうけれど」
 この辺りは人体の不思議の一つであろうか、どれだけ厄介なものでも次第に慣れる。毒もそうでそれで全身毒の塊になる人間もいるというのは物語のことだ。
「それでもね」
「漆はそこが厄介だな」
「本当にそうよね」
「ああ、それとな」
「それと?」
「漆器ってそんなに有名だったんだな」
 龍馬はこのことを知ったという顔でしみじみとした口調で述べた。
「高いとは思っていたけれどな」
「世界的にね」
「そうだったんだな」
「本当にそれが英語の語源になったって言われてる位で」
「ジパングがそうじゃなかったのか」
「そうも言われてるけれど」
 この辺りは諸説ある。
「漆器の国というのはね」
「そう思われてることは事実か」
「そうなの」
「成程な」
「だから将軍様になると」 
 徳川幕府のだ、この場合は。
 優花は宝石の装飾品を見ながら龍馬にこう話した。
「こうしたものは傍になくても」
「漆器はか」
「それこそ今じゃとんでもない値段の漆器がね」
「周りに一杯あったんだな」
「あと陶器もね」
 そちらもというのだ。
「服も絹で」
「凄い上等のか」
「そういうのを身に着けていることが多かったわ」
「やっぱりそれなりに立派だったんだな」
「質素は質素でもね」
 それを常に心掛けていてもだ。
「格式に相応しいものが周りにあったわ」
「漆器も陶器もか」
「どちらもね」
「茶器もだよな」
「ええ、そういうのもね」
 その中には陶器も含まれる、陶器を日本では瀬戸物というがこれは尾張、今の愛知県西部の瀬戸で多く造られたのが語源である。
「立派だったのよ」
「そっちの贅沢か」
「日本はそうね」
「そうなんだな、贅沢の仕方が違うか」
「日本と欧州だとね」
「本当に欧州はな」
 龍馬も宝石達を見つつ言う。
「こうした方向に贅沢が発達したんだな」
「美術品収集と、服もね」
「そっちは日本と同じか」
「そうなるわね」
「何か欧州の貴族の服っていうとな」
 龍馬がここで言うことはというと。
「ベルサイユの薔薇か」
「それはロココね」
「バロックとかな」
「膨らんだスカートによく締められたウエストのドレスね」
「あと髪型も凄かったな」
 当時の欧州の貴族の髪型はだ。
「一メートル位の高さにして上にディオラマ飾って」
「そうした髪型本当にあったのよね」
「しかも小麦粉で白くしたりして」
「凄かったのよね」
「ああした贅沢か」
「宮殿もね」
「贅沢の桁が違うな」
 龍馬はしみじみとして述べた。
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