第六幕その九
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「僕はあまり好きじゃないよ」
「つまり結論ありきだね」
「そうである、ってことを確かにする為の学問だね」
「そうした学問は好きじゃない」
「先生はそうした人ね」
「そうである、って最初からわかっていたら」
それこそというのです。
「学問の意味がないよ、聖書もね」
「絶対にそうだって思って学んでいたら」
「読む意味がないんだね」
「真っ白な状況から読む」
「そうしないと」
「そう思うよ、学問はね」
それはというのです。
「先入観を入れないでね」
「やらないと駄目で」
「こうである筈だ、とか思ってやったら」
「おかしくなるんだね」
「そうなんだね」
「マルクス主義とかあったけれど」
もう昔のことですが先生は今の日本の学者さんの世界には残っているのではないかと思っています、それも色々な分野で。
「マルクス主義の正しさを実証する為の学問とかはね」
「少なくとも先生の学問じゃないね」
「先生は先入観を入れないから」
「そうして学問をするからね」
「違うわね」
「うん、そうしたものはね」
先入観や事前の結論といったものはです。
「学問にとっては」
「よくない」
「先生はそう考えてるよね」
「学問を歪めるから」
「だからっていうんだね」
「僕はそう考えてるよ、どんな宗教や思想もね」
それこそというのです。
「先入観として学問に入れるべきじゃないんだ」
「本当に真っ白になって」
「そのうえで、だね」
「学ぶべきだね」
「そして偏見なしに学んでいって」
「結論を出すべきだね」
「そう思うよ、僕はそういつも心掛けているよ」
先生ご自身もというのです。
「自分で出来ているかどうか不安だけれど」
「出来てるよ、先生は」
「ちゃんとね」
「むしろ先生位先入観のない人いないよ」
「公平だしね」
「差別もしないし」
「差別についてはこう考えているんだ」
差別についての先生のお考えはといいますと。
「自分が差別されたらどうかな」
「その時どう思うか」
「そのことを想像するんだね」
「そのうえで差別についてどう思うか」
「そう考えればいいんだ」
「うん、若しもだよ」
それこそというのです。
「それが想像出来ないことはだね」
「人として駄目だよね」
「そうしたことまで想像出来ないと」
「自分がされたらどう思うか」
「そうしたことを想像出来ないと」
「いじめもそうだね、自分がされたらどうかな」
いじめられたらというのです。
「嫌だよね」
「誰だってそうだよ」
「差別されたりいじめられたら嫌だよ」
「どうしてもね」
「そんなのされていいって人いないよ」
「そういうことも想像出来ないとね」
「そう、駄目だからね」
それ故にというので
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