IFエンド 「シュテル・スタークス」
[1/11]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ふと空を見上げるとあの日と同じように満月が優しく夜を照らしている。
今日は2月14日。私――シュテル・スタークスにとって特別な日。日付を聞けばお気づきの方も居るでしょうが、一般的にはバレンタインデーとして知られていて女性が男性にチョコを渡す日です。
その際に告白が伴うことが多かったらしいですが、最近ではお世話になっている人に対してチョコを渡すことも多くなっているようです。年月と共に考えや価値観が変化しているのでしょうね。それ故にジェネレーションギャップというものが発生するのかもしれません。
話を戻しますが、先ほども言った通り今日は私にとって特別な日です。私が女性だからというのも理由ではありますが、最大の理由は少しだけですが心の奥に秘めた気持ちを出すことが出来るからです。
「…………寒いですね」
冬であることを考えれば当然のことですが、今感じる寒さには別のものが混じっています。それはきっと不安なのでしょう。
何故不安を抱いているかというと、仕事中に盛大に失敗して怒られその謝罪をしなければならない……というわけではありません。研究を進めるための試行錯誤はあれど、パーツの発注ミスやプログラミングのミスといったことは働き始めてから一度たりともしたことはないですから。えっへん!
そもそも……仮にそういうことになったとしても、それは私に非があるわけですから当然の行動です。申し訳なさは感じるでしょうし、不安も覚えなくはないですが……今ある不安と比べれば微々たるものです。
ならば何に対して不安を抱いているのか、と疑問を持つでしょう。それは……私がこれから取る行動の先にです。
正直に言ってしまいますと……私はとある男性が好きです。
いえ、好きでは私の胸の内にある気持ちを現すには足りません。大好き……これは何だか子供っぽいですね。すでに私も大人扱いされる身ですし、年齢的にも子供として見られることはありません。ここは愛しているという言葉が的確でしょう。
「……自分で考えておいて何ですが……恥ずかしいですね」
顔がとても熱く感じます。体が温まることは状況的に良いことではありますが、精神的には負担に思えてなりません。
今なら世の中のカップルを心から尊敬します。男性からにしろ、女性からにしろ……どちらからか告白したわけなのですから。
これまでに様々な問題にぶつかって頭を悩ませたこともありますし、魔導師として犯罪者と相対したこともありますが……この気持ちが私にとって最大の難敵かもしれません。いったいどうすればこれに打ち勝つことができるのでしょうか。やはり今年もただ日頃の感謝の気持ちとしてチョコを渡すだけで告白はしないでおいた方が……
「…………いえ、それは出来ません」
何のために今日こうしてチョコを用意し
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ