IFエンド 「シュテル・スタークス」
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うとする。それを嫌だと思ったことはないが、今回に関しては別だ。我に遠慮し自分の気持ちも伝えぬなぞ、我にとって侮辱でしかない。我が友であるならば全力で向かってこんか。それが出来ぬのならば、貴様は我が友ではない!』
ディアーチェが王で私は彼女の右腕。
明確に言葉にしたことはないが、私達の間には主従関係にも似たものがあった。故に友ではありますが友ではない。対等の存在として立つことはできないという想いが私にはあった。
ですが今のは完全に私を対等の存在として認めている言葉。私にとって常に上の存在だったディアーチェが隣に立っていると認めた言葉と言える。
『最後にもう一度だけ問う……シュテル、貴様はショウのことをどう思っておるのだ?』
『私は……私は彼が…………ショウが好きです。……ずっと……ずっと前から好きでした』
いつからショウのことを想うようになっていたのだろう。私がレーネの元で働き始めた頃だろうか、それともホームステイをしていた頃だろうか。
最初はただレーネの甥や同じ道を目指す同年代の少年といったくらいにしか思っていなかった。でも気が付けば、ショウに目を向けることが多くなっていた。彼と仕事のことでもいいから話したいと思うようになっていた。彼のすぐ傍に居たいと思うようになっていた。だから……
『たとえディアーチェだろうと……彼の隣に私以外が立っているのは堪えられません』
『ふん、最初からそう言っておれば良いのだ。……シュテルよ、自分の気持ちを素直に口にしたのだ。我が本格的に動くまでに行動するのだぞ』
『ディアーチェ、それはどういう意味ですか? それでは……』
『勘違いするでない。別に貴様に塩を送るつもりはないぞ。我は貴様と違って大学に通っておる身。学生は遊べると思う部分もあるかもしれんが、意外とやらなければならぬことも多いのだ。故に我は次の春までは余裕がない』
今が1月の半ばであることを考えると、春が来るまで残り2か月半といったところ。猶予はありそうに思えるが、ディアーチェは春が来れば告白する。当日は非常に恥ずかしがりそうな気はするが、一度決めたからには確実に行動に移すだろう。
そう考えると私はディアーチェが行動を起こす前に覚悟を決めて己が気持ちを伝えなければならない。ショウが初恋の相手であり、また自分から告白しなければならないとなると2か月半という猶予は長いようで短く思える。
それに普段同じ職場に居ることが多いだけに私の言動に変化があれば怪しまれる。それがきっかけで亀裂が生まれてしまうかもしれないと思うと非常に不安だ。
「まあ……その不安を乗り越えて今日という日を迎えたわけですが」
冷静に振り返ってみてもショウから怪しまれた様子はない。今日まで私は自分の気持ちを悟られることなく、またこれ
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